ざっくりだけど2015年ごろは続けることさえできれば大抵は稼ぐことのできる時代だったと思う。
なぜそのような状況だったかと言えば、簡単に読み解くと理由は二つしかない。
・検索エンジンの評価軸がコンテンツ寄りだったから
・参入者が少なかったから(参入障壁が高かったから)
評価軸がコンテンツ寄りというのはテキスト寄りと言い換えることもできて、だから当時ぐらいから長文SEOと呼ばれる流れが生まれていたように思う。
今からでは信じられないかもしれないけど、2012とかは1000文字書いてたらコンテンツ量としてはピカイチ。あとはサテライトサイト作ってバックリンク当てよう。みたいな流れが確かにあった。
その最低限必要な文字数が増えるたびにオワコン化が進んでるとか言われてたっけ…
閑話休題
評価軸がコンテンツ寄り、ひいてはテキストよりというのは、高い再現性があった。
クローラー、要は検索エンジンが高評価を示すテキストの形というのは一定で、それを守りつつ文量を増やすだけでいいのだから根性のある人間は儲かった。だから当時はとにかく「続ければなんとかなる」と言われていた。(もちろんクローラーに読ませる形を知っていることが最低条件だったけど)
そして当時稼ぎやすかった要因はもうひとつ、稼ぐための情報はほとんどオフラインでしか出回ってなかった。
今では常識に近いサジェストで出てきたワードを見出しタグに盛り込みつつテキストを形成する。というのも当時は知るひとぞ知る、検索エンジンのハックテクニックだった。
だから谷と呼ばれる、稼いでいるアフィリエイターの集うコミュニティは、当時希少性の高い情報を秘匿しつつ獲得していたというのが大きかったように思う。
ではなぜ今のSEOが難しくなったかと言えば、
・コンテンツ軸からドメイン軸になった
・参入者が増えた(howtoサイトが増えて、参入障壁が下がった)
という面が大きい。
まずドメイン軸についてだけど、これはテキストベースの真逆。ユーザーの反応ベースと言い換えてもいい。
いわゆるUX(ユーザー体験)と呼ばれるもので、例えばサイトに対しての適切な滞在時間やページ/セッション、Returnning visitorが獲得できているか。またシェアやブックマークなど、検索流入以外の経路を十分に獲得できているか。他、単純にコンスタントな被リンク獲得などが、ドメイン軸で見ている要素と言える。
このUXの改善というのは、テキストをクローラー向けに最適化するのに比べたら、再現性は著しく低い。だから稼ぐのが難しくなった。
もうひとつは参入障壁の低下。つまり、希少度の高い情報だからこそ、それを使うだけで勝てた状況が崩壊した。なぜならhowtoサイトを通じて、炭鉱夫は効率的手法を得てから鉱山に来ているからだ。
限られたパイ(ここでは特定キーワードの上位のこと)の奪い合いをしている以上、同じ水準のライバルが増えるというのはそれだけ勝つことが難しくなる。
勝つには差別化をするしかないわけだけど、残念なことに単純なSEOの情報では差が付かず、高い再現性を持って勝つことは極めて難しいと言える。
だから今のSEOは稼げない。そう言われる。
その上で、SEOを駆使して食べるためにはどうするか。これはおそらく3つある。
・ブラックハットを行う
・ジャンル選定能力で差をつける
・愚直にUXを改善する(重要:競合よりも)
ブラックハットというのは、グーグルペナルティ(簡単に言えば検索結果から手動で排除されること)の対象となるテクニックで、中古ドメインと呼ばれる、過去運営歴のあるドメインにサイトを載せ、そこからリンクを飛ばしてメインサイトで稼ぐという手法だ。
古くはアフィリエイトファクトリー時代から猛威を奮っていた手法なのだけど、正直厳しい部分が大きい。
当たりドメインさえ引ければ、ドメイン取得にかかった費用をペイできるけど、おおよそ数百のドメインを試して引けるか引けないかというレベルだし、なにより精神的にきつい。
ただ、アフィリエイターの中にはこの手法で今も食べているという人も存在しており、1日10時間ぐらい虚無を生産し続ける精神力があるならいけるかもしれない。(俺は無理)
次のジャンル選定能力だけど、これは言ってしまえばブルーオーシャンを探す力で食べるということ。
「ブルーオーシャンはもう無い」というのはいつの時代も言われてきた言葉で、2013とかでもアフィリエイトを始めるには遅すぎると言われていたりした。
何が言いたいかと言えば、頑張ってそれっぽいところに数打てば、ブルーオーシャンが見つかるので、そこを起点に頑張ろうと言う話。
成人が最低限暮らすぐらいの賃金は得られると思う。ただ、ブラックハットに負けず劣らず数をこなす必要があるので、根性ゲー。
最後のUX改善。これが今のSEOの王道だと思う。
○SEO的なUX改善の意味
なんとなく言葉の響きが良いから使ってそうなやつも多そうなUX。ユーザーのために、良いコンテンツを作れば伸びる。そう言うけど、それって思考停止でしかないよね。
そもそもここでいうUXってなにかと言うと、途中でもちょっと書いたけど、
・使ってる瞬間(アクセス解析のページ滞在時間など)
・使った後(体験の共有、シェア、被リンク)
・再訪問
など、サイトを知ってからの利用とその後使わなくなるまでの生涯リアクションと言える。
つまりUX改善というのは、これらの数字を高くすると言うことだ。狙った検索ワードにならぶ競合より。
SEOの視点から言うと、良いコンテンツとは先ほど書いた3条件を改善するコンテンツのことだ。
であれば直帰率や滞在時間、ページ/セッションなどの数字に関しては、ページ分割するだけで改善する。
実際、この手法で結果を出していたアフィリエイターもいたんだけど、最終的には伸び悩んでいたようだ。
これに関しては、おそらくだけど検索順位に対しての一定数のシェアやReturnning visitorがフィルターとして存在していて、それを満たしていなければ順位を落とされると考えている。
こうした、一度順位が上がったあと落ちると言う経験は何度も味わっていて、これは結局のところ競合と比べでシェア、被リンク、再訪問数で負けたから起きていると、色んなデータをよんで推測した。
だからUXのどれかひとつを強力に改善しても、一時的順位向上はあるかもしれないけれど、長期的上位には繋がらない。
つまりサイト全体で先ほど書いた3要素を改善するようなコンテンツを用意することがUXに重きをおいたSEOだと言える。
1.使用時の数字改善
ページ分割は最適解なのだけど、ユーザーにストレスをかけるのでシェアや再訪問に悪影響がでると見ている。
とはいえページ分割の本質的な要素は間違いなくSEOにおいて強い。
本質的な要素とはすなわち、同一ドメインに対しての1ユーザーのページ閲覧数や滞在時間だ。
だからページ数の増加と、遷移を促す導線強化はマスト。とくに強力な導線が必要と考えている。
強力な導線とはユーザーニーズにマッチしたHUBページの用意がベター。最良は高速な検索システムだとは思う。
2.シェア、被リンク
シェア、被リンクのトリガーとなるのは、コンテンツの方向性と内容、作成者の権威性だ。
コンテンツの方向性に関してだけど、シェアされやすいコンテンツはある程度決まっている。言ってしまうと講座・まとめ・ツールの3つだ。
有用な講座は「○○を勉強したい…」という人に第一回が渡される。連番になっていると導線が分かりやすいため、独立したコンテンツより講座の第一回というのはシェアされやすい傾向にある。
まとめは、例えばコロナが始まった当初は宅配対応や持ち帰りをやってる飲食店をまとめたサイトが伸びてたのだけど、ああいうのはやはり伸びやすい。
ツールは、例えば計算ツールや画像圧縮のできるページ、特定ジャンルに絞った検索ツールなんかがここにあたる。
講座・まとめは根性さえあればなんとかなる。
ツールは技術力がないと設置できない。
この性質は、過去のSEO状況を踏まえると、前者に力を入れすぎるというのは極めて危険なことがわかってもらえるのではないかと思う。
結局のところ、根性でなんとかなるコンテンツは、低賃金で人員を確保した企業サイトに、時間当たりの労働量で決して勝てないのでじり貧コンテンツだ。
ツールはそれでいうと、前者より寿命が長いと見ている。
このツールが1つめのサイト使用時の数字改善にも貢献するようなら、それが最良だと考えている。それはなにかと言えば……まあ言わなくても分かると思うのでわざわざ書くのはやめとく。
3.再訪問性
実はこれは、2で紹介したコンテンツがそのままReturnning visitorを得やすいコンテンツとなっている。
シェアされるのは大抵、再利用性の高いコンテンツだからだ。(自己顕示欲を満たす系もあるけど)
結論を簡単に書くと、SEOを踏まえたUX改善とは
1.ページ数を増やす
2.導線を改善する
3.講座、まとめ、ツールコンテンツを用意する
となる。良いコンテンツを作れば順位が上がると、それっぽいことを言って悦に入ってる人。その場合の良いコンテンツに入る具体的な内容はこれだ。
蛇足
途中でも触れたけど、ただの講座・まとめは先がないと思う。
歴史を考えるに、根性でなんとかなる分野は人海戦術を体力のある企業がやってきた瞬間終わるので。
ではどうしたらよいのかと言えば、能力が必要になるものをやることだと思う。それは単純に難しかったり、情報がまだ手軽に手に入る位置になかったりするものだ。
当初のアフィリエイター環境もwordpressを使えるかどうかが技術的ラインだったし、今は複数のプラグインを駆使できるかだったり、wpの仕組みやCSSを活用して導線を最適化できるかだったりに変わってきた。
たがそれもほとんどの人ができるようになってきて、差別化できる要素では無くなってきている。(優秀なテーマの登場で、実装の難易度が下がったのもある)
これを踏まえると、今後SEOをやっていくなら更に高難易度なツール作成が必要になってくるのではと思う。
理由のひとつはアフィリエイト業界の流れが、もうひとつはエンジニア業界が売り手市場と言われているからだ。
売り手ということは買い手がいるということで、買い手がいるということはそれだけエンジニアを使ってやりたいことがあるということだ。
エンジニアが必ずしもウェブ業界に繋がってくるわけではないけれど、少なからずコーディングが出来る層を要して構築されたウェブサイトが、今よりも検索結果に増えてくるはずだ。
そもそも、アフィリエイトというSEOと密接な業界で、ツールコンテンツに求められている質が日ごとに伸びている以上、ウェブ全体の大きな流れが同じ方向を向いていてもおかしい話ではない。なにせSEOは露出経路としてダイナミックだし魅力的だ。
だからこれから何年かはプログラミングがより熱くなり、そしてより生き残るためには根性(人海戦術)でカバーできる部分ではなく、能力(高度な実装や逸脱したアイデア)が必要になってくるのだと思う。
ちなみに技術ラインの底上げが起きたあとに来るのは大抵ブランド勝負。差別化要素がなくなって、目に入るものがほぼ均一になったら、あとは気に入ったものだからとか、好きな人が作ったものだとかそういうものになるので。
大抵の流れは
1.分野のハック(最適論探し)が始まる
2.最適論にたどり着いた人たちが勝つ
3.最適論が広まり、根性のある人たちが勝つ
4.最適論の水準が上がり、それについていく人たちが勝つ
5.3と4が繰り返される
6.差別化要素がほぼ無くなり、ブランド勝負になる(この段階までの人徳の積み重ね勝負)
というイメージ。いまはまだ技術サイドの天井が高く、人海戦術より技術で戦った方が楽じゃね?という時期だと思う。
Youtubeなんかは投稿頻度(根性)も天井感あるし、最適論(その分野でどれぐらいの立ち位置かとか、五感的スキルの高さとか)の水準も相当高いよね。各分野の世界一大体いるでしょ。
だから今は6のフェイズって印象があるね。
Vtuberが登場した時みたいに、新たな最適論が現れるまではこれまでの積み重ね勝負の側面が大きいんじゃないかな。(アフィと同じで小規模にやるなら余裕で新規参入できるけど)