内向型の人間は外向型の人と比べると幸福度が低いと言われがちなのですが、その理由としては『人間関係が少なくなりがちで孤独を体感しやすいから』とか『社交性を周りに求められるので、社交的でない自分を認められないから』というのがあったりします。
二つの理由は外向型になることで初対面の人に話しかける試行回数を増やせれば解決しそうなものなんですけど、そもそも内・外向は脳の構造がまるっきり違かったりするのでほぼほぼムリ。できたとしても技術的なカバーですので、長期的に見るとガタのきやすい戦略になりやすいです。
そこで内向型の人が今後考えていくべき点は
- 何をやるか
- 誰と人間関係を結ぶか
の2点だろうと考えます。
何をやるか
外向型の人のメリットは初対面の人と対話することに対して心理的コストが限りなく低いという点です。そのため対話コミュニケーションの試行回数を増やすことができるため、人間関係が増え人的リソースを多く蓄えることができます。
逆に内向型の人のメリットはというと、熟考するとか、一人で淡々と作業ができるとか。要は個人の脳内で完結するような行為に対してのバフがかかるイメージです。
ですのでできる限り、社交性の求められない一人作業の多い場所に進んでいくのがよろしいかと思います。
この辺の仕事選びについては具体例をあげるより、RIASECテストでもやったほうが生産的だと思いますのでそっちをやってください。
https://openpsychometrics.org/tests/RIASEC/
なおRIASECテストで出てきた候補の中から「好きな仕事」を選ぶよりも「向いている仕事」を選んだほうが確実です。殆どの場合、好きな仕事というのは消費することが好きであって、生産することが好きであることは少ないですから。それよりも向いている仕事にリソースを注いで、それを好きにしていくほうが確実と言えます。
こうして内向型の特徴を活かした仕事に付き、能力を存分に振る舞うことができれば自ずと自分の内向性を受け入れることができ、幸福度向上に一つ繋げていくことができるわけです。
誰と人間関係を結ぶか
外向型の人はコミュニケーションに対する心理的コストの低さから、次々と交友関係を結べるような対象を見つけ出すことができますし、実際に結ぶこともできがちです。
逆に内向型の人は率先して自分からコミュニケーションをすることが不得手なので、候補数がかなり少なくなりますし、なんなら確率論的に誰とも交友関係が結べないなんてこともありえます。
そこで内向型戦略としては
- 少数精鋭、自分と合った人を見極めて攻める
- 外向型の人のようにアタック回数を増やす
というのが考えられますが、冒頭にも書いたように内・外向の違いは脳の構造時点での影響ですので表面上はそれっぽく振る舞えても、長期的にはボロが出がちです。
(具体的に言うと外界からの刺激に弱く、多くの人と関わりすぎるとオーバーヒート。何もできなくなります。どうもドーパミンに対して過敏→内向型になるというのが現在の見解のようです)
というわけで少数精鋭で攻めるのが良さそうではありますが、ではどんな人と付き合うべきか。
待つ戦略は基本的には弱い
内向型の殆どは無人島で助け舟来ないかなぁと待ち続けるような形になっていることが多いです。
運が良ければすぐに状況が改善して人のいる島になりますが、現在は人間関係が自由市場的になってきていますので、強者に人が集中するようになっています。つまりは殆どの場合待つ戦略を行うと、そもそも人が来ず延々と孤独というパターンになりがち。
孤独な期間が長くなればとにかく人からのリアクションが欲しいと、他人を攻撃してみたり、炎上しそうな行動をしてみたりする場合が出てきたり、そのまま孤独という現代においての最強のデバフによって自死まで追い込まれるケースすらあります。
それぐらい孤独というのはヤバイですから、そんな孤独無人島生活に助け舟が来た日には勇み足で飛び乗ってしまうものです。
内向型のメリットは思慮深さ、警戒心の強さにあったりするのにそんなんでは、助け舟だと思ったら海賊船で、利用されるだけ利用されてボロ雑巾になって捨てられるなんてこともありえます。(具体的に言うなら低賃金で酷使されるクリエイターとかね)
待つ戦略が強く働くパターンは自身のブランド力が非常に高く、引く手あまたなため多数の選択肢から冷静に誰かを選ぶことができる場合でしょう。そういった場合は待つ戦略を通してみても良いかもしれません。
内向型の攻める戦略
ほとんどの人にとって待つ戦略は下策であります。
ということは攻める戦略、自分から誰かにアタックを仕掛けていく必要があるわけです。
これではさっきまで言っていたことと矛盾しそうですが、そうでもありません。内向型がパンクするのはとにかく多くの刺激を受けすぎてしまうからであり、逆に言えば多少の刺激であれば問題はありません。
つまりは自分にとって良質な人物を精密射撃のように確実に射抜いていくことこそが内向型の最も優秀な戦略であるわけです。
どうやって攻めるべき対象を見極めるか
これは単純に好きな人(自分の好きな行為をやっているとか、好ましい性格をしているように見えるとか)を選んでいくのもいいんですが、そこだけではなく長期的に人間関係が続きやすいのかというのを目安に選択したほうがよろしいかと思います。
というのも人間関係においてもっとも幸福度を上げる存在は誰かといえば親友と呼べる存在でして、この親友というのはおおよそ200時間ほど会う(コミュニケーションをとる)ことができれば成立するのではないかということがわかってきています。
※200時間:明確な意思を持って会話をしたいと思って話した時間
https://yuchrszk.blogspot.com/2018/05/blog-post_12.html
親友を作るためには長期的な人間関係が必要であるため、長期的な関係性が望める相手にアタックをするのが良いという話であります。
では長期的な人間関係が見込める相手はどんな人かと言うと、これもある程度わかってきていまして、
- 性別の違い:男女の友人は、同性の友人にくらべて4倍も別れる確率が高い
- 身体的攻撃性の違い:暴力的な生徒はやはり暴力的な生徒とつるむ
- 頭の良さの違い:だいたい成績が同じ生徒ほど友情は続く
- 好感度の違い:友人が多い人は友人が多い人と友情を結びやすい
それぞれの要因が重なるごとに、友情が終わる確率は25〜43%ずつ高くなっていく
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/07/blog-post_31.html
つまりは同性で自分と同じような攻撃性で頭の良さも同じぐらいで友達の数も同じぐらいという人がベストと言えます。
ネット上をベースに行動する場合、性別の判別は人によっては難しいかもですがまあ大丈夫でしょう。攻撃性に関してもネットなら相手の発信から推察できます。研究の世界で言われる頭の良さはIQですので、IQの高い人の特徴を見ていけばある程度頭の良さも推察できます。
例えば
- 痩せている
- 音楽をやっている
- 心配性
- ギャグセンスが高い
- ブラックジョーク好き
などなど……
MBTIベースで判断するのは難しいですが、ビッグファイブベースで言うなら開放性と神経症傾向が高い感じの人ですね。話してみて「すみません」と言いがちな人とか、予防線を張っちゃいがちな人とかは神経症傾向高いですし、やたら色んなことに興味を示す人は開放性が高いです。他には許容範囲が広い人も開放性高くありがちだったりします、そのへんをベースに自分との類似性を見出してみれば頭の良さもクリアできるかと
最後に友達の多さですが、これはほとんど外・内向のレベルと相関を持ちますから、内向型戦略としては同じぐらいの内向レベルの人を対象にすればよろしいかと思います。
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とはいえ前述した長続きしやすい条件をオールクリアしないと絶対に駄目というわけではありませんから、このへんは自分の気持や利害関係みたいなところと相談しながら考えてみるのがよろしいかと。
例えば自分は友だちが少ないからこそ友達の多い人と交流して、間接的に自分の人的リソースを増やしに行くというのもありかと思います。
ただ余計なお世話でしょうが3つ以上マッチしない条件があるなら止めたほうが良いでしょうね。
どうやってコミュニケーションを取りに行くか
アタックを仕掛ける対象を絞り込んだところで、実際に話しかけに行くわけですが、内向型の人間は自発的にコミュニケーションを取りに行くことが少ないと思われますので、対話経験値が低く難易度が高いです。
というわけでコミュニケーションで強い行動とやってはいけない行動を抑えることで、経験値の低さを補いましょう。
褒め殺し(悪い)
○○さんすごい! と褒めまくるスタンスで攻めるのは実のところ悪手だったりします。(特に内向型相手には)
褒めるという行為は皮肉に化けてしまうケースが多いからですね。例えば学校で一番テストの点数が高い人に「頭いいね!」と本心から言ったとしても(いやいや全国模試ではめっちゃ下だから、全然わかってないなこいつ)みたいに蔑視されてしまうことがあったり。
もっとわかりやすいケースを挙げるなら、子供に「トイレできてすごいね!」というのは良いでしょうが、大人に「トイレできてすごいね」なんて言った日にはバカにしていると捉えられるの間違いなしでしょう。
というわけで褒めるは地雷を引く可能性があるので危険信号、確実なのは『感謝・驚き』で表現することですね。
テストのケースで言うなら「また百点なの!?」とか、トイレのケースなら「いつもトイレをきれいに使ってくれて助かります」とか。こっちは相手の認識に依存しない話なので、相手も素直に受け取れてよりベストな回答となりえるわけです。
気持ちを正直に伝える(良い)
人間誰しも考えの相違はあるもので、相手と自分の持っている意見が違う! ってなることは多いです。
ここで内向型の人の殆どは「相手を傷つけるかもしれないし、自分の気持を伝えるのは止めておこう。同意しておこう」としてしまうのですが、実はこれアウトです。
想像以上に人間の感性は過敏なのもので、そういう場の雰囲気を壊さないための同意というのに気付くもの。そこから関係性維持のコストが増大し初めて「なんかもういいかな」と、関係性の悪化に繋がります。
ですので思ったことは相手にちゃんと伝えるべきなんですが、これは相手の意見をライナーで打ち返してノックアウトしろって話ではないです。
例えば「ワンピースって面白いよね!」って言っている人に対して「は? 面白くないけど?」って言ったら正直に伝えてるけど、関係性悪化は不可避ですよ。普通にムカつきますから。正しくは「正直自分はワンピース合わないんですよ、どうしても熱い展開が苦手で……」みたいに相手の完成を否定せず、自分の気持を伝えるのが最良です。なお、これで相手が「ワンピース嫌いとか、くたばれ!」みたいに言ってきたらその人はコミュ障の疑いがありますのでフェードアウトしたほうが良いかと思います。
自慢全般(悪い)
どんな形であれ自慢は相手に嫌悪感を与えます。
例えば
- 人脈自慢
- 収入自慢
- 謙虚装った遠回し自慢
- 他人との比較自慢
などなど。
特にひどいのが謙虚装った遠回し自慢で、これならまだ直接自慢したほうが増しなレベルで好感度落ちます。
しかしここで疑問に浮かぶのが「じゃあどうやってパワーバランス維持すればええねん」って話ですね。上下関係に敏感な相手と交流するときなんか特に注意すべき点で、自分の凄さを相手に伝えられないと舐めに舐められ、不当な扱いを受けるなんてことがあったりします。
というわけで自慢せずに能力の高さを伝える必要があるんですが、実は正しい方法が一つあります。
これは「苦労話を伴って自慢をする」ですね。
例えば私の場合なら「こうやってなかなかな文量の知識を記事に書き起こしているけど、この知識を得るために数百時間はおそらくかけているし、こうして長文記事をサクッとかけるのも今まで数年間の中で1000記事程度、文量でいえば200万文字とかいう莫大な言葉を書いてきたからなのです」みたいな。
他にはワンパンマンに登場するサイタマというとにかく最強という主人公が、ただ最強というわけではなく「禿げ上がるほど努力したからこうなった」とエピソードを付け加えることで最強系主人公なのに好感度が高くすることができているというのも参考になる事例かと思います。
自慢をする場合は何をやってそうなったかの苦労エピソードを添加してあげるのがいいです。
悪気はないんだけどみたいな枕詞(悪い)
気持ちを正直に伝えるの部分に繋がってくるんですが、相手を否定するようなことを言うからと言って、「悪く思わないでね」みたいに枕詞をつけるのはバッドコミュニケーションです。
というのも「悪く思わないでね」と言葉を付け加えてしまうと、聞く側は「今から悪く言われるのか」となおのことネガティブな言葉に敏感になってしまい、よりストレスを感じてしまうということが起きてしまうからですね。
言う側からすると相手を気遣ってのことなんですが、聞く側からするとよりストレスを感じることになるので、気持ちを正直に伝える時にこの手法を取るのは止めましょう。
気持ちを正直に伝えるコツを書くなら、自分の主観をベースにして相手の考えを真っ向から否定しないってのが大事です。
まとめ
- まずは内向型のメリットを活かせる仕事をする
- それを通じて自分の内向性を受け入れる
- 孤独を解消するためには待つ戦略はよほどの場合でなければ下策
- 自分と長期的な人間関係を結べそうな人を見つけてアタックを仕掛けるべし
- コミュニケーション経験値の少なさは技術でカバーしよう
というお話でした。