世の中には様々なバイアスがあります。
中には大変な非常事態だというのに「大丈夫だろ」と高をくくって命を落としてしまうような、やばいバイアスもあったり。
しかしああいったものは第三者の視点からすると「ありえない」と感じるようなもので、我々は愚かなことに「自分だけは大丈夫だろう」と思いがちなのです。
俯瞰して物事を見ていられる限りは思考のバグに気づけるのに、いざ自分ごとになった瞬間バイアスに飲まれてしまうからこそ恐ろしいというのに。
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ここで考えるべきは、意思決定を誤る原因が「自分のことを主観的に判断してしまうから」であります。
友達へのアドバイスは合理的なのに、いざ自分が同じ状況に陥ったら愚かだと思っていた友人と全く同じことをしてしまった。なんて人、世の中にはごまんといることでしょう。
まさに自分ごととなるとバイアスに飲まれる典型なのですが、逆に言えば自分ごとであっても客観的視点を保ち続けることができれば意思決定を合理的に行いやすくなるということでもあります。
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古代ローマの政治家ユリウス・カエサルは自らの行動を「彼は~」のようにあたかも他人事のように記したとか。
ウォータールー大学がバイアス解除のプロトコルとして300人を対象にした実証研究で上記のような、3人称を使った自己行動の解説を指示したところ、『他人の視点で物事を考えるのが上手くなり、ベストな対策を導き出せるようになった』とか。
1日の終りに自分がその日行った意思決定のシーンを3人称で書き出していくだけでバイアス解除を行えるってんだから手軽かつ実用的テクニックでしょう。
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意思決定を改善する方法としての抽象的アドバイスは、よく「自己を拡大する」と言われています。
例えば今紹介した3人称日記(イリイスト式と呼ぶのが正しそう)は視点を拡大することによって意思決定力を高めているわけですし、
他にも10/10/10、10分後、10ヶ月後、10年後。この選択をした結果あなたはどう思っているかを想像する。なんてやつもあったりします。
直感的選択をする人ほど自己正当化をしやすく、客観的評価を失っていくのに対して、論理的に考えて選択する人のほうがあらゆる場面で大きな成果を収めていた。なんて話もありますし、バイアスに惑わされない意思決定をできるよう努力していきたいなと思います。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0191886914003651