INTP型のブログ

苦味があるな?

『土曜0時のターミナル』の話をしよう

僕が大学に入った後の頃なんで、確か2012年ぐらいの頃。

 

商業ラインでウェブ漫画をやろうって企画が話題となっていて、そのサイトの名前が裏サンデー。現在人気の高いマンガアプリであるマンガワンの前身的存在で、一応今のサイト自体はあるけど、あまり労力はかけてない感じで運営されてます。

 

当時「このサイト全然収益化してないけど大丈夫…?」って思った記憶があるね。確実に伸びる市場だと判断して、バシバシ先行投資していくスタイルだったのだろう。そしてそれは大成功だったわけですが。

 

話戻して、裏サンデー時代に1話完結の作品として出てきたのが『土曜0時のターミナル』。これがめちゃくちゃ面白かった。

 

当時の感想を見てみてもかなり高評価で、思い出補正だけではないのは確か。

 

内容としては死神の女の子と主人公とが会話しつつ、確か主人公が死神に殺されるって導入だったかな。そのために輸送中みたいな。

 

でも実は殺されるべき対象は別の誰か(確か妻だったかなんだったか)で、なぜそういう話になっていたかと言えば、実は世界観がSFでボディは執行対象のものだったけど中身は別だったからみたいな感じだった気がする。最後のオチで、宇宙のターミナルが描かれて、そこには宇宙人が沢山いるのだけど、話の流れとしてはこのSFオチが逸脱で「もっとこの子の話が読みたい」と思った記憶があります。

 

なんでこんなふうに拙い記憶でネタバレをかましたかと言えば、魚拓自体はあるのだけど画像の読み込みができないようで決して読まないレア物となっているからですね。

 

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で、今朝なんでか知らないけどこの漫画を思い出しまして、ふと調べてみたらその作者、マガポケに連載を持っているらしい。ちびドラ!という作品とのことで調べてみると確かにある。

 

読んでみると、コメディとシリアスを上手く組み合わせた作風は確かに当時面白いと読んだ、土曜0時のターミナルに似てるような気がしました。

 

しかし残念なこと?に、9話で完結という形になっていて、これが計画通りだったのか、それとも悔いの残る形であったのかはわかりませんが、実力的にはもっと評価されていい存在だと思うのは確かでして。

 

この辺は僕の哲学でもあるんですが『露出が増えなきゃ評価は付いてこない』んですよ。

 

よく『良いものを作れば口コミでじわじわ広がって最終的に売れていく』なんて戯言をほざくやついますが、連載作品はどれだけの速度感で打ち切りが決まっていくのかわかってんのかって話ですよ。

 

露出がほとんどない状態、つまり期待されてない状態で1話出して、そこで評価されなかった時どうなるのかと言えば、掲載に対しての優遇度が抑えられ話数を重ねるごとに難しい立場になっていく。新連載というブーストを失って、その状態でどう戦えとって話ですよ。

 

シュタインズゲートという作品はXboxで発売されて、じわじわと口コミが広がり一大コンテンツとなりましたが、言うてニトロプラスが出してるし、シリーズ物の第二弾。つまりある程度のブランドが構築されてる状態でのスタートなんですよね。

 

鬼滅の刃だって最初評価されてなかったなんて言われてますが、漫画雑誌としては最大手であるジャンプ連載漫画である時点で露出量は十分確保できてるんですよ。

 

話脱線するんですが、僕が陸上やってた頃、青山学院大学の選手が「高校時代は無名だった選手が多数ながら~」みたいなこと言ってるんですけど、高校生の5000m記録百傑に入るような奴らばっかなんですよね。確かに10本指に入るような選手はいなかったけど、テレビや雑誌で大きく扱われてなかっただけで、間違いなく優れた選手の多いチームだった。それが指導力のみで成り上がってきたみたいな評価されてて、民衆がそういう「成り上がり」の話好きなのはわかるけど、納得いかなかった思い出ありますわ。

 

だからこういう『すごい作品出せば必ず結果はついてくる』みたいなコンテンツ根性論みたいなのは幻想なんですよ。そりゃ例外はあるだろうけど、本当に一握りで運が必要になってくる話で、面白い作品出したって十分な露出を確保してもらえないのであれば埋もれるだけなんですよ。

 

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僕は何かをやる時一番最初に考えるのは「どうやって露出を確保するか」で、確かに連載作品として出すんだから企業にそこを担保してもらいたいのはわかるんだけど、『生殺与奪の権を他人に握らせるな!!』という言葉もあるけれど、やっぱそこだけに頼るのは今の時代不安定が過ぎる。

 

創作をやってる人ってマーケティングって言葉聞いたらアレルギーが発症して死ぬんじゃないかってぐらい、売り込むという行為に嫌悪感抱いてるような人が多いイメージあるんですけど、商業ラインに持っていきたいならそこは避けて通れない道なんじゃないかなぁと思います。

 

そりゃ一番気持ちいいストーリーって「自分が面白いと思った作品をただ作ってたらバカ売れしましたw」みたいなのだと思うんですけど、ああいうこと語ってる人の中には嘘付いてるやつ沢山いますからね。

 

だって「売れる作品とは何かをめっちゃ分析しました」とか言ったらやらしいし、単に『なんとなく売れ筋ラインが分かる』って感覚を保有してて、それを言語化出来ないだけの人もいたりして、それを『自分が面白い作品』と抽象的に表現してたりもするわけで。

 

経営とかでもよく経営者が「好きを仕事にしたから頑張れた」とか語るんですが、あれも過去を美化してるだけで、最初は商業として強そうだったからやったに過ぎなかったものが、長年触れていくうちに専門家になっていき、誰よりも上手くそれを扱えるようになったから好きになった。ってだけなんですよ。

 

陸上とかもそうで最初から走るの大好きだったやつなんてほぼほぼいませんよ。どこの子供が自発的にクソみたいに長い距離走るんですか。学校でやらされたらなんか他の人より速いからやるようになって、その経験を通じて好きになっていったとかですよ。好きは最初に来るんじゃなくて後に来てるんですよ。

 

メディアを通じて発信する以上、僕だってブランディングを意識したら今やってることを「好きで始めたこと」だの「趣味が高じて」だの言いますが、普通に嘘ですからね。商業として強いと判断したからやっただけですよ。長い間やる中で徐々に面白さを見いだせるようになってきたのも確かですが。

 

美しいストーリーっていうのは、気持ちのいいフィクションでしか無いです。

 

現実に生きる人間として、競争相手は勝つための手段選んでませんよ。勝てば官軍ですから。

 

例えば”もこう”っていう方や”幕末志士”っていうゲーム実況者は、デビュー当初自演をしていたことを語ってますが、それだけ『一番最初にどうやって露出を確保するか』は大問題なんですよ。そこを超えないとどうしても『評価される最低ラインに乗れない』から。

 

普通自演ってボロカスに叩かれることでしょうが、時効ということもあり彼らにとっては笑い話になっていて、リスナーも多分「変なことやってたんだなw」と面白い話と聞いてることでしょう。

 

気持ちいい勝ち方追い求めてたら、体のあちこちが痛くなって毎日がだるい日々になっても勝てないし、下手すりゃ死ぬまで負け組ですよ。

 

なんか思い描いてる目標があるなら、欲があるんなら、手段選べるほど偉い立場なんすかね。と自戒した今日でした。いやまじで、最高の勝ち方なんて追い求めてたらどんどんだめになってしまう。目標最優先で生きねば…

 

追記:

 

そうそう懲役339年の話もあったな。

 

当時も名作として扱われていた作品だったけど、正直売れ筋ではなかったと思う。だけど一転、テレビで芸能人の誰かが「これが面白い」と紹介した結果、馬鹿みたいに需要が加熱して1冊あたり1000円以上の値が付くようになった。電子書籍版の2倍以上の価格だ。

 

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Googleトレンドの数値も異常だ。

 

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インターネッツの有名な画像にこれがあるけど、まさに『情報を食ってるんだ』よ。

 

コンテンツを一切見てないわけじゃないけど、消費者は評価者として信用できる存在じゃ一切ない。

 

後光効果と呼ばれる現象があるけれど、『芸能人が評価した』ってだけで表紙やあらすじを見ても面白さを見いだせなかった人が、こぞってそれを求めて枚挙する。人の好悪の判断にはいくらでもバイアスがかかってしまうんですよ。

 

これを理由にコンテンツを作り込む必要がないとは言わないけれど、これから名を売っていく立場なのだとしたら『どうやって認知してもらうか』は、手段を選ばないレベルの姿勢で望む必要があるんじゃないかなぁと思う所存です。自戒