最近、一人で考えることにも限界があるのかもなと思いまして、オフラインで会う、ある程度信頼できそうな人にだけやってることを話して「こういうとこが面白いとかなんかあったら教えて」とアドバイスを求めたりしてたんですよ。
なんでこういう聞き方してるかっていうと、そもそもアドバイスには2種類
- 加点的評価
- 減点的評価
があると思っていて、前者の加点的評価でしかその分野において素人の人からはあまり良いアドバイスが引っ張ってこれないと思っているからですね。
ここでいう加点的評価というのは、例えば「この動画の○○の部分面白いね」とか「こういう魅せ方いいね」とか、加点式にいいところを見つけて「だから、そこを伸ばしてみるといいと思う」とつなげるアドバイス方針です。
想定していないユーザーが面白いと感じる部分というのは、製作者が意図していない部分であることが多く、また想定ユーザー街を拾う上での参考になるため「こういうとこが面白いとかなんかあったら教えて」という聞き方をします。ただ、抽象的な聞き方ではあるので、答えに詰まっているようだったら「例えばこのシーンはどう?」みたいに聞いたりします。(まあそもそも減点的評価をしてくる人が多いので、こうなるケースは稀でしたが)
減点的評価は「もっとこうしたほうがいい」とか「ここをこうしたら?」みたいに、ない部分や足りない部分を見出すアドバイス方針で、ぶっちゃけこっちのほうがアドバイスする側からすると楽です。
なぜかと言えば、無作為に選んだ想定していないユーザーであるため「そもそも面白いと感じるコンテンツではない」というのが起因してます。
そして人にはそれぞれ面白いと感じたコンテンツが存在するため、それと比較して見せられたコンテンツに無かった部分を取り入れてみたらどうかとアドバイスにつなげる人がとても多いと感じました。
ただ、大抵の場合それは打ち切り直前のミステリー系漫画に「とりあえずバトル要素入れてみたら?」と、作品の整合性を破壊し既存ファンの冷笑を買うようなアドバイスであることが多く、端的に言えば的はずれなアドバイスであることが大半です。(たまーに「それいいね」と思える意見もありますが、大抵は一度検討して排除したものだったり、試してみたけど効果の薄かったものだったりします。)
有益さで言えば、こちらからすると間違いなく加点式評価をしてもらうことだと思ってるんですが、途中にも挙げたとおりアドバイスしてくれと頼まれた側からすると足りない部分を挙げてみるほうが楽なため(しかも刺されば影響度が大きいのもあり)、減点的評価をするケースが多いように感じました。
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色々アドバイスを集めた感じ、有益だなと思った方向性のものは
- UIに関する減点評価
- 面白いと感じた部分(加点評価)
のどちらかであることが多かったです。大抵の場合、それ以外の例えば「○○しろ」や「△△うざい」と言った類のものは、UIに関わらない点の場合既存ファンからすると止めてほしいことであるケースが多いです。(もっというとUIの変更も慎重であるべきではあります)
また面白いと感じた部分を突き詰めていく場合も一つ注意点があり、採用し続けるとマニアックになりすぎる傾向があるように感じました。
おそらく、評価者という目線に立った時、誰も目をつけないような部分や難解な部分を評価することで、自尊心を確保するような心理的動きがあるのではと思います。そのため加点評価においても、影響を受けすぎると対応できるユーザーが少なくなりすぎるように見えます。
例えばですが、競技かるたを描いた「ちはやふる」は人気作となりましたが、競技かるた自体はそれ以前間違いなくマイナーな競技であり、知名度は低いものでした。それを青春要素などなどを取り入れることで面白いものとして魅せたわけですが、ときにユーザーはこういった作品を「リアリティ」で評価するような感覚があります。
リアリティを追求するのであれば、退屈なトレーニングの描写を多分に増やしたり、座学のシーンを事細かに書くことになりますが、これらは魅せ方によっては退屈さにつながってしまいます。しかし、こうした「マニアック」さや「リアル」さというのは、高評価すべき部分として挙げられることがあります。例えば教材として使えるとか…
ですが、大衆。より多くのユーザーを包括していく上で、この「マニアック」さや「リアル」さというのは非常に繊細なもので、突き詰めたからいいというものではありません。
だから加点評価に耳を傾けすぎるというのも危険だったりします。
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「じゃあ、どのアドバイスも使えないじゃないか!」
という話になっちゃいそうですが、そこで使うべきが前回の記事で書いた合理的思考なわけです。
つまり、そのアドバイスを取り入れることでコンテンツ全体にどのようなリターンがあり、どのようなリスクがあるのか熟考し、リターンが十分あると判断できるようであれば取り入れる。というのが最も重要なことだと思います。
今回の記事の主張はなにかといえば、いくつかのアドバイスを貰った中で、『想定していないユーザーのアドバイスは減点評価の場合大抵意味がなく、加点評価であれば熟考した場合価値を手に入れることができそうなものが比較的手に入りやすい』ということ。
そして、もっと大きな枠組みで見た時、『減点評価はUIに関するものなら使えることが多く、加点評価は原点評価以上に参考にしやすいけれど、鵜呑みにしすぎるとマニアック化が加速しすぎてしまう』というものです。
自分だけの考えにとらわれないように他人の考えにも触れてみるべきだけれど、大抵の他人は自分よりそれに詳しくないため鵜呑みにしすぎてもコンテンツが壊れてしまう。
個人的結論は、
- 材料はできる限り多いほうがよく、
- 集める際は使えるものがより多く集まるようにし、
- 採用するかどうかは合理的思考に基づき行う。
という感じです。
難しいのは数字化するには一度試して見る必要があるって点ですね。ただ、大抵の場合一度の試しでは複数の要素が入ってくるため対照実験としては弱くなりやすく、完全に数字化できているとは言えないような状況になったり。そうするとアドバイスっていうのは、大抵こうやったほうがいい程度の客観っぽいけど別にデータがないものなため、採用判断は突き詰めていくと主観的になりやすかったりするわけで。いやはや難しいっすね。
考えること、調べること、試すこと、積み重ねること。やることが一杯あって大変ですなぁ。