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苦味があるな?

生存バイアスという逃げ道

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簡単に読み解くと「できるまでやったらいつかできる、出来ない(もしくは出来なかった)というのは人生が終わってようやく言える」という感じになるので、はてブコメントみたいに『生存バイアス』とか『渋谷のファミレスで聞こえてきそう』とか言われるのはまあ分かるんですよ。

 

実際、探せば長期的活動を続けてきて鳴かず飛ばずなんて人はそれなりにいるわけで。しかもその人達には人生があるわけだから、死ぬまで鳴かず飛ばずかもしれないという不安を抱えながらやり続ける恐怖もあるわけで。できるまでと一言で言えば簡単だけど、10年上手くいかなかったときの絶望感というのは僕自身、実体験を通じてなんとなく分かる話だなとは思うんですよ。

 

ただ、ただですよ。

 

「失敗=結果を出すまでのプロセス」という真実に気づけばいい。

 

これは確かにとも思います。

 

単純な考え方として、期待値的に考えた時、

 

  1. じゃんけん、参加費100円
  2. 負けたら参加費没収
  3. 買ったら賞金300円

 

というものがあったなら、長期的に見たら参加すればするほど儲かるわけじゃないですか。

 

でもですよ、50回とか100回とか、確率の収束の詳しいことは分からんのであれですが、短期的に見たら下ぶれてマイナスになることだってあるわけじゃないですか。

 

これはあらゆることに言えて、なにかの活動が花開くためにはそれなりの試行回数が必要なんですよ。

 

そして成功のためにそれなりの試行回数が必要ということは、短期的に見たら失敗の連続が待っているかもしれないということでもあります。

 

ただこれをポジティブに捉えたら、必要な回数失敗したら多くの場合成功するとも言えます。まあそれが人生80年、その間に訪れるかどうかはやり方だったり能力だったりに依存はしますけど。だから多くの場合ではありますし、それこそが生存バイアスと表現されるわけでもあります、

 

誰しも徒労は嫌じゃないですか。

 

冒頭に挙げた記事ではナンパを例として出してましたけど――現代社会の倫理観としてどうなのかとかは置いといて――50人に話しかけて全員から無視されたり拒絶されたり罵倒されたり、まあ失礼なことをしている以上仕方のないことではあるのですが、50人もの人間から不快感を示されたら、まっとうな人間は心が病むでしょうし、実際にそういう体験がなくてもそんな経験をしたくないと思うのが当たり前だと思います。

 

でも50人に話しかけるのが仕事だとしたらやるのが人間なんですよ。実際、訪問販売も似たような経験しますし、NHKの集金をやってる人なんてナンパどころじゃなく精神的にいじめられてますよ。でもそれが仕事だから、やったらお金が手に入るからやるんですよ。

 

これは大義名分があれば精神的ダメージを無視できるって話かもしれませんが、それだけじゃなく報酬が手に入る確約があれば失敗にチャレンジはいくらでも出来ちゃうものってことなんですよ。

 

だから失敗が嫌ということじゃなく、徒労が嫌なんですよね。

 

で、冒頭の記事のいいところは

 

世の中のほとんどの人は、“ハードル設定”が致命的に下手

 

これを提言しているところだと思っています。

 

『やるからには結果出す』みたいなことを夢想して、ナンパをするんだったら最初から恋人を作るところをゴールにするし、ゲームを作るんだったら最初からドラゴンクエストみたいなRPGを作ろうとするし、ダイエットするなら1ヶ月で1kg減とかじゃなくいきなりモデルみたいな体重になろうと減量期ボクサーみたいなことをし始める。

 

そして3日後には自分の設定したハードルの高さを前にして「なんか面倒くさくなっちゃったなぁ」こう思うわけです。

 

NHKの集金人はやってれば優しいおばあちゃんとかが「払おうと思ってたんだけど振り込み方がわかんなくてねぇ、いつも来てくれてありがとうねぇ」とか言ってくれたりするんですよ。大義名分がなきゃやりたくなかった集金作業は、ハードルを乗り越えたことで成功体験を経て、失敗も「ここは駄目だったけど次は成功するかな」みたいな気持ちでできるようになります。

 

つまりハードルは低かろうが、一度越えてしまえばそれは大きな財産になっていくんです。

 

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冒頭の記事が挙げているものは一言で言えば『できるまでやればいい』に思えるかもしれませんが、実際の所はもっと科学的な、人間の本能をちゃんと理解した上で人生設計しようぜという話なんですよね。

 

簡単にチャートを組むなら

 

  1. 低ハードルのチャレンジを繰り返し自己効力感および、人間の報酬系を刺激する
  2. 成功体験が増えてきたら、失敗をしても徒労感が減る(いずれ成功できると信じられる)
  3. この状態まで来たら心理的に実際に続けられる状態になる

 

 

まあ問題点として、挑戦する心理状態になったとしても生存バイアスというか、能力的・戦略的に届かないということも起きえるでしょうが、この記事が言ってるのは「そもそもほとんどのやつは成功したい、何かを得たいと思いながらも徒労を嫌がって全然何もしないよね、それって続ける方法がわかってないからだよね」ってことですよ。

 

そしてこうした話は自己効力感や報酬機能、セルフコントロール能力など、科学的分野で成功するために必要な能力ってなんだろうを考えた時、よく出てくるキーワードに連なったことでもあるわけです。

 

挑戦したら必ず成功するわけじゃないのは当たり前の話で、だからこそ試行回数が必要なわけですし、とはいってもどれだけ挑戦数を増やしてもなんにもならない可能性はありえますが、確率的にはぶっちゃけなし得ないことの主原因は続けられないことではあると思うって趣旨の記事じゃないですか。

 

実際の主原因が何なのかを科学的に論ずることは僕には出来ませけど、主観としてSEOを誰かに教えた時成功しなかった原因は1週間も立たずやめたからが100%を占めてますし、セルフコントロール能力が現代で必要なスキルと言われている背景を察したら大枠で見てもそうなのだろうと思います。

 

  • 成功する思考方法は何度も挑戦すること

 

に対して、

 

  • いやいや生存バイアスでしょ

 

って批判は正論ですが、正論だからこそ厄介なものだと思うんですよ。

 

成功した人を見てあいつは特別だから、自分は普通の人だから、運が良かっただけじゃんとか。全部否定はできないものなんだけど、だからこそ厄介すぎる。

 

生存バイアスを逃げ道にしたら無限に逃げ続けられちゃうんですよ。だって正しいから。正論だから。

 

でもそうやって生存バイアスという言葉が大手を振るほど、諦めたり投げ出したりする人が増えていく。だって正しくまっとうに逃げられるなら逃げますよ、そりゃ。

 

誰だって徒労かもしれないことはしたくないし、ツライことだってしたくない。そこに口実があったら飛びつくに決まってる「どうせ無理だったんだから諦めてよかった」とすっぱい葡萄と眺めるが如き人生を送る。

 

しかしそうやって生存バイアスを逃げ道にするほど、人生がうまくいかない理由は生存バイアスではなく、続けられないこと・そもそも挑戦しないことにすり替わっていく

 

人生は有限だし、大人になれば仕事だ人間関係だと使える時間は少なくなっていくし、加齢に対する焦りだって生まれてくる。だから色んなものに手を出すのではなく、むしろ諦めることを増やしていくのが大人になることだと言えるかもしれません。

 

でも生存バイアスという正論に酔って、本当は欲しかったものを諦めたことこそが正しかったのだと斜に構えた姿勢が、僕にはとてもダサくてナンセンスに見えてしまいます。

 

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まあ熱さだけではなく、リスクヘッジ。例えばいきなり「起業します!」と法人格作って、人をバシバシ雇って、大規模受注をしまくって、不渡りのリスクを考えず規模拡大をしまくるのは愚か者ではありますが、人生が破綻しない程度のリスクであれば挑戦することも一考なのではと思うわけです。

 

マイクロソフトだったかな?あそこの起業メンバーは大学の頃に活動を始めて、普通にいいとこの内定をとっていたけど、卒業間近相当にでかくなったから独立したなんて話があります。…いや企業名は定かじゃないのだけど、実際上手くいってる人って意外とリスクを限りなく低くしてる傾向にあるんですよ。

 

やるやらないの話とリスク管理をどうするかは全く別の話なので、そこは分けて考えたほうがいいでしょうね。『やるなら全力』みたいな言葉はキャッチーですけど、『やるなら最低限』のが何かを始める時は念頭に置いといたほうが良い言葉です。

 

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なんでこの記事書いたかといえば、斜に構えたコメントを見てたら気色が悪くてしょうがなかったからです。ぜってーGACKTがビジネス系でうさんくさいし庶民の敵っぽいからで叩いてるだろ。

 

そりゃ嫌いな人間はいるでしょうし、GACKTが嫌いだから叩いているってんなら別にいいですけど、そうじゃなくてさも『客観的な視点としてこの発言はおかしいです』みたいに言ってるやつが散見されて、それが吐き気をもよおすほど気持ち悪くてしょうがないのです。

 

なにより苛立った理由は、最近FPSゲームにドハマリしている友人の行動パターンそのまま過ぎたせいだったりしますが。

 

このゲームで食いてぇと言って相当に上手くなって、アジア4桁位ぐらいまで来たとかいうもんだから、じゃあそろそろ動画やり始めたら?みたいに提案したら「まだまだ下手だから無理」だとかほざいて言い訳ばっか。アジア3桁に入ったら始めようかななんて言葉を付け足して。

 

いやいやFPSもeスポーツとある通り年齢との戦いの場であって、しかもFPSだぞ。仮にアジア3桁になったとしてお前の動画の訴求点は何?『アジア3桁ゲーマーによる○○!』とでもするのか?アジア一桁のプロゲーマーがごぞって配信をしていて、ノウハウ動画を上げていて、いやそれどころか世界一桁のやつらだってごまんといるんだぞ。上手さを訴求点にするんであればアジア一桁にでも入らないと大した魅力にはならんでしょ。

 

というか訴求点というのは希少性なんだから、単一の希少性を高め続けるんじゃなくて、例えばアラサーでそんだけの順位ならそこそこ凄いだろうし、社会人とか仕事内容とかそういうのどんどん付け足していけば勝手に希少性は伸びていくんだよ。

 

そしたら訴求点はできるんだから、あとは露出経路をどう稼いでいくかでしかなくて、それでいうともう十分活動を始められる環境はできているし、タイトルとサムネだけ頑張って週一投稿やっていけば1年後には収益化できるぐらいにはなるだろうよ。

 

そうやって話したって結局やらない。なぜなら徒労が怖いし、なんなら最初から目標地点がトップストリーマーが叩き出してる数字だから。失敗したくない、無駄にツライ思いしたくない、だけどいつかFPSで食べられるようになりたい。舐めてんじゃねーぞカスが。

 

ってかそもそも、お前が言ってるのはプロ野球チームの監督が「最強のプレイヤーを集めてください、そうしたら優勝してみせますよ」と言ってるようなもんだぞ。監督としてやっていくなら、いる選手で最大の結果を出そうと頭を捻れよ。自分の今持ってるもので勝負してみろよ、もう十分やり込んだだろ。

 

 

と思ったり言ったりする程度には、何かを成し遂げたいくせに言い訳ばっかりして何もしないやつが嫌いなんですよ。別にとりあえずやってみてそれでやめるならそれでいいんですよ。僕だってとりあえずやってみるがハードル設定であることが多いし、とりあえずやってみるを続けてきたからこそサイトで食べてこれた背景があるし。

 

とりあえずやってみるすらせず、あまつさえ本来の理由である失敗から逃げているであったり自己プロデュース力のなさという事実を、生存バイアスや戦略という言葉であたかも考えての行動ですと隠蔽する態度が、虫酸が走るほど嫌いなんですよ。

 

挑戦しないことが正しいこともあるけれど、他人の失敗談を見て「ああ、自分は挑戦しなくてよかった、みんなも挑戦しないほうが良いよ、成功者のいうことは生存バイアスだからね」と、賢ぶった振る舞いをする奴らが、俺は嫌いで嫌いでしょうがない。

 

低リスクで挑戦しろ。低ハードルで挑戦しろ。何かを得たいと思っているんだったら、徒労の恐怖に負けず挑戦し続けろ。

 

浅慮な人間がリスクを考えず挑戦して死んでいくかもしれない言葉ではありますが、それよりも何もしてないくせに絵に描いた餅がいつか食えると思っている人間が言い訳する姿が嫌いなので、逃げてんじゃねーよと言っていきたい所存です。