昨今の配信業界は『誰がやっているか』の傾向が強くなってきていて、優れた技術の提供より気に入った人間の動画を見たいという人が多い、わかりやすく言えば需要が高いように見えます。
例えばプロゲーマーとして最前線で活躍する人よりも、単純に人柄が評価されているタイプの人間のほうが視聴される傾向にあるって話です。
ただこれは技術の評価軸がなくなったというわけではなく、プロゲーマーはプロゲーマーで間違いなく需要はあるけれど、その需要規模は気に入った人間のプレイ動画と比べると小さい傾向にあるよねってことです。
つまり誰がやっているかが評価軸として強力だと言うことなんですが、ここで考えるべきは”誰が”のこの誰がはどのように選んでいるのかって話です。
人柄やコンテンツ力と一言で言えば簡単ではありますが、それだけではないと思います。
Vtuber業界では流行の先駆けとなったキズナアイやミライアカリと言った人物が当初こそ大きな人気を誇っていましたが、現在では動画系ではなく配信系をベースにしたVtuberが成功を収めており、この差が人柄やコンテンツ力のみで発生したとは考えにくいと思っています。
なにせ一時的とはいえ時代の流れを掴んでいた人間が人柄としての魅力を持っていなかったかと言われたら違うと思うし、コンテンツの質自体も企業がやっているだけあって綺麗にまとまっていると感じます。
この双方の差は”距離感”であり、これこそが誰がやっているかの”誰が”を選ぶ上で強く作用しているのではないかと思うわけです。
そもそも人間が人間を気にいる時の一番の要素は『どれだけ一緒の時間を過ごしたか』に尽きます。もちろん面白いとか声が綺麗とか、そういった軸もあるんですが、そういった技術軸以上に共通の時間を過ごすというウェイトが大きいと科学的にも言われます。
もし技術軸が大きなウェイトを占めるのであれば、より高い技術を持つプロゲーマーや新規参入してきた芸能人が軽々上を行くだろうに、実際は昔から長くやってきている配信者の雑談枠のほうが人を集めているわけですから。
つまりここでいう距離感とは『視聴者が配信者(もしくは投稿者)と同じ時間を、どれだけ過ごしていると感じさせられるか』だと思うわけです。
そのため単純に長い時間を稼げる配信という形のほうがファンを獲得するという意味では強力になるでしょう。
視聴者と配信者が同じ時間を過ごしていると感じるためにはどれだけ問いかけがあるかに尽きると思います。※この辺は合コンにて最も印象に残ったと言われる人の特徴はなにかという研究にて、質問の回数が多かった人というのが出てくるのも根拠足り得ると思う。
コピーライティングでも基本的技術ではありますが、心に引っかかりを持たせるためには”あなた”というワードを使うようにしますし、なんなら固有名を使えるなら名前を直接呼ぶようにします。他、クリック率の高い訴求分は大抵の場合文末にクエスチョンマークが付く形だったりしますし、それだけ問いかけは視聴者の心に刺激を与える作用があります。
視聴者が配信者と同じ時間を過ごしていると感じるのはどんな場面かといえば、究極的には「自分の名前を呼び、さらには自分専用の質問をしてくる」でしょう。例えば僕にするのであれば「ニゲェさん、最近サイトの方は調子どうですか?」が最も共通の時間を過ごしていると意識させられる言葉だと思います。
最近悪名高き西野氏いわく、チケットは手売りしたほうが最終的な効率は良いということで、それだけ距離感を近くすることで誰がやっているかの”誰が”を自分にすることができるのだと思います。
ただ配信に限って言うと、コメントの名前を全部読むのはファン数が少ない頃ぐらいで、大手の場合は逆に下手に読むと嫉妬を煽ってしまったり、色々問題が起きるケースのが多そうではあるので、ざっくりと集団と対話をするという形をイメージしているようには見えますけど。
「うぇええ…そんなファンサ面倒くさいわ…」
と思う僕みたいな人は別の評価軸を活用するしかないわけで、そうなると技術軸がベースになりますし、技術軸がベースになるということはそれだけ高い能力が必要にはなります。
ぶっちゃけネットの世界で技術軸で戦うというのは全国大会どころか世界大会レベルで競い合うことになりますし、なんなら相手は技術軸だけでなく誰が軸でもファンを集めてくるわけですから、やはりしんどいことになるとは思います。
これを打破させてくれる要素がSEO(検索軸での戦い)だったのだけど、検索軸はほとんど技術軸 + 誰が軸みたいなのになってしまっているから、結局は技術を磨くかファンサしまくって人集めるかの2択みたいな状況になっているような気はします。