INTP型のブログ

苦味があるな?

キャラベースとコンテンツベース

基本的にあらゆるプロダクトは

  • キャラクター
  • コンテンツ

の2軸で考えることができると思ってるんですよ。

 

わかり易い例で言えば小説や漫画。

 

主軸がキャラクターにあるものは主役が題材ではなくキャラクターで、登場人物同士の掛け合いで読み手を牽引していきますし、逆にコンテンツベースのものであれば題材としているものを深堀りしていくことで読みすすめる欲を掻き立てます。

 

キャラベースでよく言われるのが日常物で、コンテンツベースなら物語性の強いものや何かを解説したり魅力を伝えたりするもの(具体的にいうならグルメ系や技術解説の多いSF系など)が当たります。

 

現実的なビジネスで言えば、作り手が人気ゆえに人が集まるようなプロダクトはキャラクターベースと言えますし、プロダクトの魅力で成り立つようなものならコンテンツベースと言えます。

 

最終形としては、あらゆるプロダクトはキャラクターとコンテンツの両立を目指していくんですが、初期においては優先すべきものが条件によっては決まってくると思ってます。

 

立ち上げ初期におけるキャラとコンテンツ

 

結論から言えば、

 

キャラクターベース:初期は作り手やキャラにフォロワーがいないため、キャラベースはほぼ失敗する(一応例外もある)

コンテンツベース :成功率が比較的高い。

 

って感じなので、ゲーム実況であればやりこみ系(ゲームというコンテンツを主役にするため)、webツールであれば利便性や需要を考えるべきって話になります。

 

キャラクターベースの強みというのは、人間が持つ愛着という心理に付け込むことができるというものです。

 

返報性の原理を始めとして、人は愛着や好意を持っているものに対して興味関心及び信用を持つものですから、キャラクター(作り手や登場人物)に愛着をもたせることができれば、共通するキャラクターが関わるプロダクトであれば全てある程度の数字を出せるようになります。

 

そのため最終形として人や企業自体に人間の関心を集めてストックしておくというのがとても強いのですが、致命的弱点としてこれは非常に長い時間がかかります。

 

冷静に考えれば分かる話なんですが、我々はたくさんの情報を毎日摂取しているわけで、どんなに面白い動画であっても割いてくれる時間はせいぜい数十分。そこでどれだけ魅力的でかつ面白い人間であるかを伝えたとしても、興味関心を引けるのはごく少数のドンピシャでハマった人だけです。

 

しかし、一つ数十分の動画であっても、これが毎日積み重なって30本見てもらえたなら300分。6時間相当になりますし、数日に渡って何度も接触していくことになりますから、単純接触効果 + 人となりが伝わることでファンにできる確率はぐっと高まります。

 

つまり理想的な展開は

 

  1. コンテンツベースで、プロダクトの面白さや興味深さ、便利さなどで人を集める
  2. ユーザーに何十時間、何十日とコンテンツを通じて接触していく
  3. 企業として出しているのであれば企業に、個人として出しているのであれば個人に、創作キャラが関わるならキャラに、信用や愛着が集まる

 

というもので、コンテンツベース -> キャラクターベースへの以降が理想形なのです。

 

キャラクターベースの注意点

 

どんだけ面白いコンテンツを連打したとしても、キャラクターに信用や愛着を貯められないケースはいくつか考えられます。

 

  1. キャラクターがそもそも露出できていない
  2. プロダクトの対象ユーザーとキャラクター像がマッチしていない
  3. キャラクターの魅力が伝わってない(後述)

 

この辺が特に多いのではないかと。

 

1.は、単純にそのプロダクトに関わるキャラクターがユーザーから見えないということです。誰が作ったのか、どこの企業が作ったのか。創作キャラなら自己紹介が一切なかったり、情報量が少なすぎるなど(特に五感的情報。どんな見た目なのか、どんな声なのかがわからないと創作キャラに愛着をもたせる上での情報量が足りない)

 

2.は、例えばキッズ向けに作られたプロダクトに、アウトレイジに登場するようなヤクザがPRキャラクターとして登場するみたいな話です。尖ったキャラはマッチしたときのリターンが大きいですが、外したときのリスクも大きくなります。

 

3.はキャラクター造形の話が大きく関わってくるんですが、5つの要素が用意されているかどうかで、魅力が十分に伝えられているかをある程度判断できます。

 

キャラクターの魅力を伝える上で必要な5要素

 

※キャラクターという言葉を使ってますが、このキャラクターにはリアルの人や企業など、人間が個体として識別して愛着を持ったりするものなら何でも入ります。

 

※2 脚本術をベースにしています。

 

どんなタイプのキャラクターなのか

 

  1. 英雄型
  2. 普通の人型
  3. 負け犬型
  4. 罪深きもの型

 

この4タイプのうちどれに当てはまるキャラクターなのかは用意しておきましょう。

 

1.英雄型はスーパーマンのような、行動に迷いがないし自分の能力に自信があってくじけない、尊大で大きな人物像です。リアルなら(実際はどうであれ)ジョブズのような人が当たります。ユーザーが思わず憧れて、こんな人間になりたいと自伝読みたくなるような感じです。

 

2.普通の人型はユーザーと対等な立ち位置にいる、例えば同じクラスの気の合う友人のような人物像です。共感が軸にあるので、悩んだりもするし懸命にそれを乗り越えようともするし、硬すぎず柔らかすぎない、まさに愛すべき隣人って感じです。

 

3.負け犬型はTwitterで見かける借金数百万みたいな、とにかくあらゆる要素(特に人間の欲求が集まりやすい金や恋愛、見た目や将来の展望など)において普通より劣っている立場にいる人です。同情が軸にある人物像ですが、悲観的になりすぎるとユーザーに強いストレスを与えてしまうので、しくじり先生のようなコメディチックに伝えていくという技術も必要です。(創作キャラの場合、適度なストレスを負け犬が勝利する形で開放できるメリットが存在する「ロッキー」など)

 

4.罪深きもの型は、いわゆる中二病がドハマリしてしまうようなアンチヒーロー像です。リアルで言うならYoutuberのヒカルがこれに当たると思います。悪の要素を覆すほどの興味深さと実力が魅力の軸にあるので、倫理観や宗教観的に忌避されているようなことをガンガンやったり、口や人当たりが死ぬほど悪いけど有数の実力を持ってるから何も言えないし、なんならズバズバ言うスタイルが心地よい。みたいな状態を作る必要があったりするのでリアルでやる場合はすごい大変なスタイルです。

 

これら4要素に加え、特徴・価値観・欠点も用意します。

 

特徴であれば感情的なのか、心理的なのか、知的なのか。

 

価値観は後述する欲求と目標をベースにし、特定の出来事や情報に対してどんな判断を下すタイプなのかを考えます。

 

欠点は、知的なキャラであれば偏食だったり、とても優しいけどアクシデントに弱いなど、長所の裏返しのようなものを用意します。

 

この特徴・価値観・欠点を違和感なく用意するには、MBTIはかなり相性が良いと思っているので、リアルにせよ創作にせよ、どんなキャラとしてプロダクトに関わらせていくかを決めたら、それにマッチするMBTI像から決めていくと良いように思います。

 

欲求と目標

 

そのプロダクトを通じてキャラクターは何をしたいのかを明確にします。

 

何かを解説するような動画であれば、題材の魅力を伝えたいとかが多いですね。

 

この欲求と目標に対しては貪欲であることが望ましく、対立する何かが発生した場合は戦いを決断するような強い意志を見せると、よりユーザーに対して「本物なんだな」と思わせることができます。

 

なぜ「本物なんだな」と思わせる必要があるのかですが、これはユーザーの感情を大きく揺さぶるためのものです。

 

例えばですが、MBTIを解説するキャラクターを用意したとして、ただ淡々と解説されたならそれはコンテンツの補助装置でしかありませんが、「MBTIをより多くの人に届けたいと思って個人的にはじめました、もしかしたらMBTI公式に目をつけられるかもですがやってやります!」みたいに言えば、本物の意思が見えてくるし、そうすると生きた人間だと感情が動く準備を始めてくれます。

 

動機と必要性

 

人間は常に理由を求める生き物なため、欲求と目標を伝えるときには動機も見せていく必要があります。

 

例えば上の例の「MBTIをより多くの人に伝えたい」に「だって、MBTIの話をリアルでしようと思っても全然できないんですもん(泣)」みたいにするだけで、やはり生きた人物像になります。

 

このときの動機は「生きるためにやってます」や「承認欲求を満たすため」など、生物としての本能っぽいところに近いほど、リアルな印象を与えられます。そしてリアルなほど本物な意思っぽいので、ユーザーの興味を惹きやすいです。

 

なお、あえて動機を無しにすると無感情なマシンのような印象を与えられたりします。ウイルスは増えることを目的としてるけど、理解できる動機は見えないわけで、要はそういうのと一緒に思えるってことです。

 

失敗したらどうなるか

 

より本物感を出すなら、そのプロダクトが失敗した場合どんな状況になるのかを伝えます。

 

「これ売れなかったら赤字、閉店です!」みたいな、プロダクトの失敗像を見せることで、どれだけの覚悟の上での活動かを伝えることができます。そして、人間はどうも危機的状況の人ほど興味を持つし、なんなら協力したいと思うので、キャラクタービジネスをする上で強いのです。

 

創作キャラなら「いいねや高評価、再生数などが期日までに一定数いかなかったら消されちゃう!」みたいに、煽ればいいわけですね。

 

どのように変わるのか

 

リアルで言うなら、いわゆるビジョンですね。

 

そうやってプロダクトを出して、最終的にはどうなりたいの? を明確にしようって話です。

 

創作キャラクターの場合は、性格や価値観の変化を描くというのもありですが、ストーリーとして強いやり方であって、プロダクトを通じての演出としてはそこまでな印象があります。

 

要は成長物語を演出していこうって話なので、そこから逆算して手法を考えてみてもいいです。誰だって伝説の始まりには興奮するよねっていう。

 

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というわけで以上です。

 

キャラクターの魅力をどうやって作るのかがメインになっちゃいましたが、声を大にして言いたいのは

 

  • 初期はキャラベースせずにコンテンツベースでやれよ!

 

ってことです。

 

動画投稿界隈にいるんですが、まだ人気の出てない人たちがキャラベースの動画を作っては伸びなくて萎えて呪詛を吐く、っていうのを何度も目にしているので、そういう人たちに直接伝えずにここに書いた次第でございます。

 

ちなみにキャラクターベースへの移行に失敗すると、基本的に強いコンテンツの用意をするのはコスト的に厳しい + 類似コンテンツは飽きられて数字が回らなくなる。のダブルパンチでオワコン化します(1敗)

 

webアプリなども例外ではなく、興味関心を向上的に牽いてくれるキャラがいないなら、どんだけ利便性が高くてもユーザー数の確保は厳しいです。(検索で上位だからとか、他の強い媒体次第になりがち)

 

キャラベースへの移行時はほぼ100%で拒否反応っぽいのが出てきますが、慣れたら手のひら返して「Good!」って反応になっていくので、そこでビビらないのが重要です。(1敗)

 

あと、キャラクラーの演出って自己PRと似たような照れくささがあるんですが、そこは完全無視で、斜に構えた人間が「草」とか言ってそうな情景が浮かんできたとしても、かまわずやることも大事だなと思います。