といっても簡単に書くけれど。
知能の定義の変化
初めの頃は握力と精神を相関させたりしていたけれど、スピアマンという人が一般知能gと特殊知能sという数学モデルを提案してから一気に知能への理解が進んだ。
スピアマンの理論は簡単に言うと
- 知能とは様々な因子によって構成されるもの
という話で、因子とは例えば言葉をたくさん知っているとか、素早く正確に体を動かすとかが当てはまる。
このスピアマンの一般知能gというのをベースとしたキャロル人間認知(C-HCA)と呼ばれる理論が、最も実証性のある知能理論だとされている。
C-HCAは因子を徹底的に分析して、一般知能gという枠組みに振り分けていくプロジェクト。
これが現代における、最も正しい知能への理解の仕方だとされている。
一応スタンバーグの三頭理論と呼ばれるモデルも実証的であり、三頭理論をベースにした教育は効果を出しているとか。
IQが測れる知能とは
キャロルの知能理論をベースとして考えたとき、IQ(知能指数)なんて呼ばれるこれは一体どれを計測してるんでしょうか。
結論から書くと一般的因子16のうち
- 流動的知能/推理Gf
- 結晶的知能/知識Gc
- 視空間能力Gv
- 短期記憶Gs
- 決断/反応速度Gt
の5項目です。他11項目の知能は考慮されていません。
IQというのは1916年
- 精神年齢 / 暦年齢 * 100 = IQ
という形で初めて登場し、1981年に
- (テスト得点 - 所定の年齢で期待される平均得点) / 所定の年齢の標準偏差 * 15 + 100 = IQ
へとアップデートされました。
ちなみに広辞苑とかwikiには1916年の化石計算式が未だに乗っているとかなんとか。
で、IQの計算式に登場するテスト得点っていうのがいわゆるウェクスラー式知能検査、WAIS-ⅢとかWAIS-Ⅳとかです。
ウェクスラー式知能検査で測れるのが最初に挙げた5項目
になりやす。ちなみにWAIS-Ⅲの話で、WAIS-Ⅳの場合は知りません。
まあなんで
- IQは名前の割に知能の因子を回収しきれてない
んですね。
とはいえ、IQだけでも様々なものと相関があって使い勝手いいもんですから、知能指数と呼ぶには少々物足りないけれども使っているという感じなのかと。
ちなみにMENSAのはどんな知能を測ってるのか
IQってそもそもウェクスラー式知能検査を前提とした数字なんで、メンサのテストがWAISとかでもなけりゃ正しいIQなんて測れんのですよね。
詳しく書くとWAIS-Ⅲでは14のテストを行っていて、そのうちのひとつに行列推理ってのがあります。
メンサの入会テストはこの行列推理というだけなので、IQ計測するには少々物足りないというか、あと13個ぐらい項目が足らんのですよね。
ちなみに行列推理が含まれる知能は
- 流動的知能/推理GF
- 視空間能力Gv
の2つです。
なので巷でよく見るIQテストは、実のところあんまり当てにならんわけっすね。
本当の高IQ、高知能を名乗りたいのであればせめてWAIS-をやっておけという話になりますな。
ちなみのちなみに日本人の思う知能
まあ日本じゃなくて日本含む6カ国のだけれども、
- 共感性・社会性能力
- 対人的能力
- 知識の把握・処理能力
- 判断力・決断力
- 表現力・センス
という結果になったそうです。
具体的に書くと
- コミュ力(ユーモアと思いやり)
- 読書や勉強をして知識豊富
- 時間を有意義に使っている
- 判断が早い
- 決断力がある
- 字が綺麗、おしゃれ
とかそのへん。変にIQ上げるよりも、こっちの能力を磨いたほうが有能に見られたい人にとっては有意義なんでしょうね。