INTP型のブログ

苦味があるな?

INTPに勇気を与えるドゥンカーの放射線問題

ドゥンカーの放射線問題は以下のようなものになります。

 

胃に悪性の腫瘍のある患者がいた。
その患者は体力がなく、手術はできないので、放射線によって治療しなければならない。
強い放射線を患部にあてれば、腫瘍を破壊することができる。しかし、患部は体の内部にあるので、外から強い放射線をあてると、健康な組織も破壊されてしまう。
どのようにすれば腫瘍だけをうまく破壊することができるだろうか?

 

よかったら少し考えてみてください、その間に少し小話をしてみます。

 

昔、ある将軍が要塞を奪うことを考えていました。
しかし、その要塞までへの道は複数あり、そこには地雷が散らばっています。地雷のある道は少人数のグループでしか通ることが出来ません。ですがそれでは要塞を落とす戦力に足りません。
そこで将軍は少人数のグループを複数の道から送り込み、同時に要塞にたどり着かせることで十分な戦力を持って要塞を奪うことに成功しました。

 

まだ考え中でしょうか?それならもう1つお話をします。

 

火事の現場に消防署長が駆けつけます。
早く消さなければ他の家屋に燃え移ってしまいますが、そこには消火栓がなく、消火活動が出来ません。
近所の人達が何十人も集まり、近くの湖からバケツリレーをして火を消そうとしますが、消える気配がありません。
そこで消防署長は、バケツリレーをやめさせ、全員に湖でバケツに水を汲んでもらい、一度に水をかけてもらいました。
すると火はすぐ弱まり、無事鎮火させることに成功しました。

 

……と、ここまでがドゥンカーの放射線問題です。ちゃんと考えました?

 

ドゥンカーの放射線問題とは類推(アナロジー)による問題解決についての実験で使われたもので、直接的関係のない話でも、問題の答えを導くのに効果があるのか検証したものです。

 

  • 一番最初の問題だけで解けた人はわずか10%
  • 放射線問題と要塞の話を聞いた人は30%
  • 放射線の問題と消防署長の話を聞いた人は50%
  • 放射線の問題と要塞、消防署長の話を聞いた人は80%

 

が、答えにたどり着きました。一応書いとくと、わからなくても何ら問題ありません。アナロジーの価値が伝わればいいだけなので。

 

ちなみに、問題の答えは『複数の弱い光線を様々な方向から腫瘍に当てる』です。

 

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ドゥンカーの放射線問題で気をつけなければいけないのは、これが割と親切な環境下で行われているということです。

 

このケースでは類推に役に立つものが提示されていますし、被験者側も(ヒントなんだろうな)と思える形で提供されています。

 

こうした情報を類推に使う行為は、内的視点と呼ばれるものにハマる危険性があります。

 

内的視点とは、特定の問題に取り組む時、その特定の問題の詳細情報だけで判断をしてしまうことをいいます。

 

例えばドゥンカーの放射線問題で言えば、内的視点は要塞の話と消防署長の話をヒントに問題解決に取り組むということです。今回はうまくいっていますが、意地悪なヒントを提供されていたのであれば、内的視点の落とし穴に落ちるわけです。(例えば有名な予想屋の話を鵜呑みにして、競馬で大負けするとか)

 

逆に外的視点は、現在取り組んでいる問題とは異なるものの中に、構造的類似性を求めて精査することをいいます。

 

ドゥンカーの放射線問題で言えば、「これと似たような問題は何を求めていただろう?」とか、ヒントとして出されたものだけでなく、放射線と似たようなケースはなにかないか、あったとしたらそこから問題解決のヒントを取り出せないかと考えるということです。

 

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ドゥンカーの放射線問題はアナロジーの効果を証明するものです。

 

実際、ノーベル賞受賞者の9割がアートを嗜んでいると言う話もありますし、クローズドな物事でなければ専門特化の学習スタイルは成功例が少なくなります。

 

これらはアナロジー、つまり複数の構造的類似性を持つものがヒントとなって新たなアイデアや、解法が閃くためである。というのが【RANGE知識の幅が最強の武器になる】と言う本で触れられている話のひとつです。

 

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ここでタイトル回収、INTPについてです。

 

MBTIにおけるINTPは、Ti Ne S Feと心理機能を持ちますが、これはいくつかの事柄を土台にして論理的に思考することを得意とするということで、要はアナロジー得意分野ではという話です。

 

これがNe Tiでも、Ni Teでも、Te Niでもダメなんですよ。Ti Neだからこそ良いんです。

 

ガチガチのポジショントークになるのであんまり話せませんが、IQの話をすると、これはそもそも類推の能力なんですよね。

 

もちろんWAISで測るものの場合はその限りじゃありませんが、研究でも使われる多くのIQは欠けた図形を完成させるような、類推能力を計測するものです。だから多くの場所で言われるIQって類推の能力なんですよ。

 

更に言うと、フリン効果が正しいとするならIQは普遍の値ではないので、鍛えることができる数値だったりするんですよね。原住民に教育を行うだけで、点線と実線の四角形を類似するものとして扱えるようになるように。(そりゃ、あらゆる事柄と同じく天井は人それぞれあるだろうけどね)

 

そしてIQ、類推の力がセールスマンに年間売上と相関性を示したり、何かと人生を好転させる要素であることは、いくつかの研究で示されていたりします。

 

※この辺は余談だけど、原住民の話で教育を受けてない人は錯視に騙されないって話があるんですよ。抽象化が出来ないっていうのは、逆に言うと物事を非常に細かく見ているし、判断してるってことでもあるんですよね。だから彼らは赤い花と赤いリンゴを同じ赤でカテゴライズできない。

と、考えると観察能力と抽象化能力って割と相反する要素だと言えるわけですよ。抽象化について知ると錯視に騙されてしまうように、我々は教育とともに類似的要素で様々なものを判断してしまうのかもしれない。

さらに言えば観察能力が下がれば、例えばスポーツをしている時、上手な人の動きを観察しても(なんとな~くこんな動きだったような)と細部まで再現できないし、絵や文字だってそう。だからN型は字や運動が下手な人が多いのではという。

MBTIにおけるIQの分布を見ても、N型が完全上位の形をとっていて、それもまさにIQが抽象化の能力示している証左だし、同時に観察能力と相反しているのではないかと。

高IQほど初体験が遅いと言う話があったりするんですけど、これも性的魅力は五感的要素から生み出されるからで説明がつくんですよね。観察能力が低い人は五感的能力が低い。見たり聞いたり触ったり、それらを再現する能力が低いんだから当たり前ですよね。

そう考えるとMBTIにおいてINTPはトップIQの属性を持つ、最強に抽象化能力の高い、最低に観察できないやつだと言えて、であればアナロジーをするための材料である知識がある程度揃うまでは雑魚中の雑魚なのかもしれないとおもったり。そして必要なものが揃えば人生が楽しくなるのではないかと。若いうちはつらくても粘れって話なのやも。

 

アナロジーにおいて重要なのは、対象のプロジェクトの抽象化と、それと類似する構造物を探し出す力、そして多種多様な知識です。

 

ドゥンカーの放射線問題が示すように、問題解決のプロセスとしてアナロジーは有効であり、その有効策を使うものとしてINTPはマッチしてるよね。だから勇気を与えてくれるよね、って話なわけです。

 

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なお優れた抽象化とは何なのかと言えば、できる限り遠いものの類似した構造を発見する能力だと言えます。遠いものの類似が見つけられるなら近いものは容易ですからね。そういう意味では昨日書いたインターリービングで、遠すぎるものはやめようとありましたが、これは個人の能力に起因するのかも知れません。

 

話戻して、遠いものから類推をした場合、よりよい効果を生み出す例として、このような研究があります。

 

  • 経営学先行の学生150人に対して、架空のコンピュー用マウスメーカー、ミッキー社を救う戦略を立てるように言う
  • 一部の学生に対して、業績改善のためにひとつまたは複数の企業に言及した
  • それ以外の学生にはそうした支持を与えなかった

 

※企業はナイキやマクドナルド、アップルやデルなど

 

結果は以下のようになった

 

  • 一つの企業を示された学生は、示されなかった学生より多くの戦略を思いついた
  • 複数の企業を示された学生はより多くの戦略を考えだした
  • 言及されが企業がミッキー社より離れたものであるほど、アイデアの創出に効果があった(同じコンピュータ関連企業のアップルやデルより、ナイキやマクドナルドを提示された学生がより多くのことを思いついた)

 

Ni持ちから「多くの戦略が思いつく = 正義ではないだろ」とか言われそうですが、Ne持ちとしては多く思いつく = 正義なので、やはり類推するのであれば遠いものであるほどよいと考えます。

 

ちなみに分野などのカテゴライズは多くの人は出来ますが、根底にある構造の類似性を見抜くことは、複数の領域の授業を受けていた統合学科プログラムの生徒が最も得意としたらしいです。

 

根底にある構造の類似性とは、例えば経済バブルと極地の氷が溶けている問題ですね。

 

これはどちらもポジティブ・フィードバック・ループを構造の根底に持ちます。(経済バブルは消費者が株式や不動産を上がると思って購入する→購入によって更に上る→上がったのを見てさらに購入につながる、極地の氷が溶けている問題は氷が溶けると宇宙に跳ね返される太陽光の量が減り、それによって地球の温度が上がって更に氷が溶ける)

 

こう考えていくと、謎掛けの力はアナロジーの力と言えるのかも知れません。そして今こうやって僕が書いたのもアナロジー

 

抽象化と類似点を見つけることは好きなことなので特に意識しなくても問題ないような気がしますが、知識に関しては色んなことを知るというのは意外と面倒くさくてTwitter見たりYoutube見たりしてうすーくせまーくやっちゃったりするので、そうならないよう本読むようにしたいなぁと思います。