結構面白かった。
以下面白かったところ。
遺伝率の誤解
遺伝の影響が70%ある。という話を見たときに残り30%分は努力とか、70%の確率で発現するみたいなのは誤りで、環境との比較という話が出てた。
身長の上半身と下半身の長さのばらつきで表現されていたのだけど、例えば上半身が100~120のばらつき、下半身が60~70のばらつき、としたとき20:10 2:1なので上半身の影響は67%で下半身の影響は33%といえる。
いわゆる遺伝の影響や遺伝率として表現されるものもそれで、また対になるものは生まれ持った性質ではない環境という話だった。
ということは比較対象となる環境次第で遺伝率の値は大きく異なることになり、実際に貧困層はIQの遺伝率がほぼゼロ%というはなしがあったりした。これは少し収入が変動するだけで大きく生活が変わることで、親世代とかけ離れたIQを持つためという話(つまり環境のばらつきが非常に大きい)
他にもハーバード大学になると今度は遺伝率が90%になるという話もあった(おそらくハーバード大学に入れる人物はそれだけ画一的であるため、環境による変化圧みたいなものがほとんど無くなるためだと思われる)
なので遺伝どうこうみたいなのはどういった集団に対しての話なのかということになるし、遺伝影響が大きいものだったとしても環境を変化させるという行為はおそらく何らかの変化を与えることにはなりそうなんだなとか思った。逆に環境による変化圧が小さくなるほど遺伝率を大きくできるということでもあるかもしれない
オワコン化した◯◯で決まる系
知ってるってやつから、間近ってやつまであった。
総合的にまとめると人間の才能というか成功みたいなものを評価するとしたときに、何らかの変数一つで正確に予測することは不可能っていう、割と普通だけどどうしても遠ざけてしまう事実に収まるなと思った。
IQ
これは自分がよく調べるのもあってよくある感じだった。IQが高いと対人コミュニケーションに問題を抱えることがある、不安になりやすい、など。
IQが高い場合は一人で黙々と頭を使う作業だったら活かせるかもという話ではあった。(1ポイント上がるごとにそういう職業だと年収が2.6~6.0万上がるとかなんとか)
なんにせよIQの高低が人生に与える影響は大したものではないし、そもそもIQが高いことによる幸福度面のデメリット高すぎでしょという話でもあるという感じ
EQ
EQとIQの仕事の成績との相関は1%と14%ぐらい
IQがそもそもその話の前にボロカス言われてる段階なので、そのIQよりも微妙だよというニュアンスで書かれてた。
EQ自体の価値がそれだけで評価されるものではないけど、EQで人生は決まらないね。ということではある。
金持ち生まれ
すくなくとも高収入になれるかという部分においてはそこまで予測力があるわけじゃなかったらしい。
また学歴に関しても同じく、そこまでの予測力があったわけではなく、さらに言えば卒業後2,3年で効力を失うことが多い。という話らしい
なんかちょっと納得感が薄かったけど、その人自身が高収入になるかどうかという観点だけで見るとそんなものなのかもしれないとはちょっと思った。
自信
自信と仕事のパフォーマンスの相関は0.26程度でほぼ無関係ぐらい
人生の成功における自尊心の重要性は上記を踏まえると9%ぐらい
ということらしい。ちなみに自信があるかといわれて、自信があると答えた人間を5年ご調査したところ、周囲から信頼できない、嘘つきだ、などと評価されている確率が高かったらしい。
自信の高さによって能力を高めるモチベーションが得られなかったからではと推測されてた
短期的な面で見ると自信があると言うのはそれだけ裏付けする何かがあると考えられるのだろうけど、長期的関係性においてはいずれボロが出るという話なのかもしれない
ネガティブ・ポジティブ
これも自信の話に近い、ネガティブな方が能力を磨くモチベーションを得やすい。
また意外だったのだけど、就職オファーにおいてはポジティブよりネガティブ思考の学生の方が年収が高い傾向にあったらしい。
またポジティブな人ほど挫折に弱い傾向があったり、長期的に見るとうつ状態の原因になってしまうことがある。という報告もあるらしい
ただうつ状態との関連については、無理やりポジティブな思考をさせた参加者たち。という話だったので、そこが駄目なのかも?無理に人生サイコーとかいう方が短期的には良くても、長期的には良くないのかもしれない
それから、そのあたりの話に関連して、ネガティブだと長期的な準備をしやすいからでは?という話もあった
グリット
個人的にこれが一番驚きだった。グリットはやり抜く力ともいわれるけど、要は諦めずに目標に向かってやり切る能力のこと。
ただこれについて直近の研究で以下の報告が上がったらしい
未来の収入を増やすためには、グリットよりも知能のほうが13倍重要
グリットの高さと学校の成績にほとんど関係はない
グリットが高くても仕事のパフォーマンスは3%しか改善しない
ということらしい。
そもそも診断テストの質に関してもグリットを評価するためのテストの質が教育に活かせるレベルではないという話もあるらしい。
MBTIの診断結果がわりとコロコロ変わるという話があるけど、そもそも自己診断ベースで自己評価させること自体がまだ人類には早いのではとかちょっと思ったりした。
セルフイメージにどうしても引っ張られるだろうから、周りからしたら明らかにぐうたら計画性ゼロなのに、セルフイメージ的には自分は計画的だし丁寧な暮らしができてるとなったら、グリットも高いだろうし誠実性も高いだろうという。
グリット2
多分グリットはかなり有名なワードなので、更にディスが入ってたりした。
そもそもグリットというのは平たく行ったら諦めずに頑張る力のことなので、不要なゴールと途中で気づいても諦めづらい。(ゴールまで走り切りたくなってしまう、不要なゴールだと判断したくない)
またがんばりにこだわりを持つ傾向のある人が多いが、そもそもがんばりに拘る人ほど不幸な感覚を得ることが多いという話もあった。
これは世の中は自分の頑張りだけでコントロールできる事柄だけではないので、そこに無力感を感じるなど不幸な感覚を生む要因になるから。ということだった
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さらに言えばここにさらに能力同士の相性みたいなのもあったりして、話がさらに難しくなるというの。
例えばですけどリーダシップのセンスがめちゃめちゃあるのだけど、同時に協調性も高いので、みんなの統率をする力はめっちゃあるけどそれをすることで厳しいことを言うのがつらい、できない。
みたいなことになってリーダシップがうまく発揮できないという話が出てきたりする。
自分はMBTIをよく見知った人間なので、MBTIを軸に人間性能の評価みたいなことをしたことあると思うし、してきた人間も見てきたけど、仮にMBTIにある程度人間性みたいなものを見る力があると仮定したとしても、それでも一つの変数だけで人間性能の予測ができるほど世の中甘くないぞ。というのは間違いないだろうなと思った
じゃあどうしたらいいのという話については該当の本を読めばいいと思います。おわり