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苦味があるな?

合理的な考え方とは何なのか?

最近注目されているクリティカルシンキングを単に表現して『合理的な考え方』なんて言ったりもしますが、実際この合理的な考え方とは何なのか?

 

個人的にこれは明確な指標があって、何かというと

 

  • リスクとリターンの変数を網羅し、比較検討することができる能力

 

だと考えています。

 

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例えばですが『仙台から東京に移動すると考えた時、高速バスを使うか新幹線を使うか』を合理的に考えてみます。

 

比較する場合は、同じ要素を比べることが肝心になるため、すぐに検討したほうが良さそうだと考えられるのは

 

  1. リスク:金額
  2. リターン:時間

 

でしょう。(考えようによってはリスクとリターンを逆にすることもできるけど、ひとまずこれで。)

 

今調べてみたところ、バスなら予約を取れば3000円ほど、新幹線なら12000円ほどで乗車することができます。

 

次に時間を調べてみると、バスはおよそ6時間、新幹線はおよそ2時間ほどで到着することがわかりました。

 

つまり『差額9000円で4時間を購入するか否か』で判断するのが一つの合理的思考と言えます。

 

例えばアルバイトをしている人間であれば、時給は1000円程度ですから、4時間で9000円なら2,250円。金銭的リスクを回避するために高速バスを選ぶほうが得と判断するかもしれません。

 

逆に4時間あればやれることが一杯あるとか、拘束によるストレスを受けずに済むとか。時間的リターンを多く見積もって新幹線を選ぶかもしれません。

 

このように何かを選択する時にリスクとリターンを比較して考える行為が合理的と言われていると考えています。

 

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また最初に挙げたとおり、合理的にはリスク・リターンに入る変数を網羅する能力も入ると考えています。そして特にこの部分が重要であり、クリティカルシンキングにおいても大事とされているところだと思います。

 

例えばですが、先程の深夜バス・新幹線の比較に死亡リスクの変数を入れることも可能です。

 

  • リスク:金額・死亡
  • リターン:時間

 

新幹線による死亡事故の例は1964年の開業以来ゼロと言われています。

 

※ただし、こちらの記事によるとテロじみた行為による死傷者は数人出ているようです。

1964年の開業以来、死亡事故はゼロ-…|【西日本新聞ニュース】

 

対して、高速バスは一般道を走ることになります。1年間の交通事故による死者数は2019年で3215人。仮に毎年3000人程度の死者数が出ているとしたなら、比較期間として1964-2020で見た時、66 * 3000で約20万人が死んでいる場所を走ることとなるわけです。

 

例えば死亡事故率の多い職業としてあげられる鳶職などの建設業は2017年の死亡者数が309人。労災で言えば909人ですから、ニュースなどで過労死はよく取り上げられますが、年間の交通事故による死者数に比べたら少なかったりします。

 

(なお休業4日以上を挟んだ場合の数字は一気に増えますが、交通事故による死者は発生から24時間以内に無くなった場合を言うため、比較対象としては上記の数字は適切だと考えました。)

 

一般道を走った場合の死亡率がどれぐらいなのかを試算することは難しいですが、自動車保有台数を見てみると、令和2年9月次点の資料によると二輪車なども含んで82,310,306台。1世帯あたりの保有台数や、保有者が年間どれぐらい車道を走るかは推定するしかありません。日本国内で一日に走っている車の台数を仮に1000万~100万とした時、一日あたりの交通事故による死者数は8人程度です、計算がめんどいので10人として、死亡率は0.00001%~0.000001%でしょうか。

 

9000円の得のために、死亡率0.00001%~0.000001%のリスクを取るのだと考えたとしたなら、主観的命の価値は9億~90億ぐらい?

 

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まあ交通機関に対しての死亡リスクを実際に加味して判断するかは人ぞれぞれだと思いますが、『交通機関を使って死ぬことはない』という先入観を取り除くことができるかどうかというのも合理的思考には確実に必要になってくるものだと思います。

 

生存バイアスや正常性バイアス、人間の思考にはいろんなバイアスがかかるというのは周知の事実で、そのバイアスによって判断を間違えるというのも多々ある話なわけです。だからこそ普通の人は考慮しないような要素を、馬鹿みたいに掘り下げて考えていく感覚も必要だと僕は考えています。

 

そういったことから、合理的思考について

 

  • リスクとリターンの変数を網羅し、比較検討することができる能力

 

としました。

 

とはいえ、網羅する変数としてはできる限り数字化できるものにしたほうが良いような気はしますけど。例えば『運が身につく』をリターンとして捉えて、開運グッズを買うのはう~んって感じ。本気で検証するなら、開運グッズを買う前と買った後でじゃんけんの勝率がどの程度変化したかとかを調べたりするのかな。

 

合理的思考の癖をつけるのであれば、何かの行動を決定するときや、これからどうしていきたいかを考えた時、自分にとって何がリスクで何がリターンなのかをどれだけ言語化できるかが重要なのではないかと思いました。おわり。

 

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当たり前の話だけど、ゼロリスクを目指そうって話をしてるわけじゃないからね。

 

例えばだけど、日本の自殺統計によると経済的理由は第二位に入ってきてるわけで、9000円を支払うことはある意味命を支払っているとも言えるわけなんですよね。

 

どのリスクを取るべきか、そもそもこれらリスクを取ってまで欲しいリターンなのか、最終的に決めるのは主観的なものにはなりますよ。大事なのはそれらに自覚的かどうかじゃないですかね。