【感想】
めちゃくちゃ面白かった、7時間ほどのプレイ時間だったと思うけど余韻が凄い!何もしたくない、人として終わってしまう!
推理モノは助手が頭脳、探偵が脳筋、もしくはその逆ってパターンがあるけれど、シロナガス島への帰還みたいにカタログスペック最強のヘタレヒロインが頭脳担当の助手って方が好きかもと思う程度には、かなりの影響を受けてしまいました。
自分に対してだけは気安くて、本当にピンチに陥るとまっさきに助けを求めてくるの可愛すぎるよなぁねね子。父性をくすぐるというやつなのだろうか。
最近読んだ本で、好まれるキャラクターは”憧れ”と”愛嬌”を併せ持つ(意訳)みたいなことが書いてあったのだけど、まさにねね子は圧倒的頭脳系スキル(憧れ)と、度胸なし・コミュ力なし・生活力なし(愛嬌)みたいな感じで、そりゃいいキャラに感じるよなぁと。
主人公は逆に物理的・精神的強さ(憧れ)と、おちゃらけているというか、どんな状況でもジョークを忘れないような部分。また本当のシリアスでは感情がちゃんとあることを垣間見せてくる描写(愛嬌)が魅力的キャラに仕上げていると思った。
まあ小難しいことはなしにしてとにかく面白かったです。
イメージ的にはTRPGリプレイをガチガチに作り込んだやつみたいな、そんな雰囲気を感じ取りました。TRPGでは「詰んだのでは…?」となりそうなシーンも、なんだかんだ乗り越えていくのがとても良かった。
キャラの組み合わせはMBTI的にいうと主人公がESTPでヒロインがINTPなのかな。風呂入って無くて、見た目からして不摂生で、頭脳系スキルだけは全振りって、典型的フィクションで魅せるように作られるINTPって感じ。すき。(現実のINTPは今作の主人公みたいに振り回してくれるやつがいないと一生引きこもって、偏った知識を集めまくり、不摂生がたたって精神崩壊するか不健康で早死する)
とても良かったので未プレイの人は遊ぶといいよ。500円、ワシはセールで350円だったけど、どちらにせよこれだけのボリューム、クオリティ、CG枚数のノベルゲームが遊べるのは破格だと思いますです。
【考察】
---------こっからネタバレ-------------
なぜ幻覚剤のまかれた部屋はヒギンス氏の部屋と同じだったのか。
1.幻覚剤でおかしくなっていたため
普通に考えて、部屋の見た目だけならまだしも椅子の傾きまで同じなのはありえない。
部屋の見た目の模倣だけなら関係者にも可能だけど、椅子の傾きはねね子に写真検証をさせたシーン的にヒギンス氏の自殺時に発生したもので、ということは主人公たちが訪れた時、もしくは現場保存されているならそれ以後あそこを訪れた人にしか再現できない。
エンディング的にヒギンス氏の娘がシロナガス島に関係していたのは移植手術を受けたということだけなので、再現できる人物がいない。ということは幻覚剤によっておかしくなり、ヒギンス氏の部屋と同じ見た目に誤認したのだという説。
不気味な絵画が上下逆に飾られていたのも幻覚剤によって変に見えていたのだろう。
2.仮想空間での出来事だったためおかしくなっていた
時系列的に、池田がねね子に起こされる以前のシーンはデバイスによって見せられていたと考えて良いと思う。(冒頭の「この世界は現実じゃない」や「精神が仮想空間上にしか存在しないはずのアウロラが居たこと」が根拠)
記憶を再現するデバイスとのことだけど、アウロラの介入によって実際の記憶とは違うものが再現されていたはず。実際、食事のシーンで池田は違和感を覚えていたし、廊下の電気が消えてアウロラが登場したシーンは不可解な現象過ぎる。
あのヒギンス氏の部屋と同じ、レイモンド氏の部屋も、なにか記憶再現の過程でおかしな現象が起きたのではないかというのが2つめの説。
3.演出の都合
レイモンド氏の部屋に入ってヒギンス氏の部屋と同じだったらとんでもなく意味深だしいいんじゃないかという説。
後は背景をもう一枚用意するほど重要なシーンではなかったという判断なのかもしれない。
⇒個人的には1つ目の説かな。2つ目の説だとどんな不可解な現象が起きたらああなるんだって話になりそうだし(ねね子の検証過程での介入によるものかもしれないけど)。3つ目の説もありそうだけど、考えがあっての描写だったら失礼な話だしなぁ。
Q.なんでダルマザメを気に入ってたの?
A.シロナガス島の悪魔が似てたからやろなぁ
それぐらいしか考えられん。ジゼルの過去のシーンで昔は違う絵画を飾っていたことから、あの後アウロラに不完全な不死薬を投下。レイモンドはその姿を気に入って、似てるダルマザメの絵画を飾ってたんじゃないかな、知らんけど。
Q.なぜレイモンドは遺書を分かりづらいとこに隠したのか
A.ねね子の能力の描写のためやろなぁ
もしくは「見られたくないけど見てほしくもあるなぁ」と思ってあそこに隠したのかもしれん。
ただ百冊以上はあるだろう本棚の中から過去存在しなかった本を見つけるというのは無理ゲーに近い(しかも自殺現場が厳密に調査されるとも思えない)ので、能力描写のためじゃなければ見られたくなかったと考えるのが自然だと思う。
Q.あるDeadENDでリールの殺害動機がわからん
A.正体の露呈や、状況が悪すぎたから?
リールはウィザーズで、どこ所属かは不明だけど何かしらの調査員だった。
ウィザーズ推理のシーンで間違った選択をするとジェイコブが殺害され、その後アキラとジゼルが殺され、主人公も魔の手にかかる。
ジゼルがアレックスに電話をかけ、出ないことから主人公は1階へと移動するが、アレックスいわく電話は問題なかったということなので、ジェイコブを殺害したのは十分程度はアリバイのなかったジゼルの可能性が高い。
ジゼル・アキラ・ねね子・リールを部屋に残していたところ、ジゼルがナイフを取り出し動くが、リールが銃殺。行動をともにしていたアキラも殺害したというのが多分一連の流れだと思う。
ねね子がナイフ持ってた理由はよくわからんが、なんにせよ4人いたはずの部屋にリールがいなかったことから、最後に停電した後アレックス及び主人公を殺したのはリールのはず。
ジゼル・アキラを殺したあの状況下で冷静に推理したらリールにたどり着く可能性は高く、その場合犯人Xはリールのように見えてくる。(ジェイコブ殺害からアキラ・ジゼル殺害につながってそうに見えそう)
また話し合いの流れで銃の所持などからウィザーズであることが露呈してしまうため、面倒なことが多すぎるし全員殺して脱出しようと考えたのかもしれない。
まあ結局最終的にはウィザーズであることを明かして協力することになってるんだし、冷静にジゼルが襲いかかってきたから正当防衛した。アキラも仲間の可能性が高いから撃った、で池田と協力する流れに持っていっても良さそうに見える。……まあリール目線だと池田も別に全面的に信頼できるわけじゃないし、DeadENDみたいな選択を取るのもおかしくはないのかな。
後、アキラを殺した理由はもしかしたら、ジゼルを撃ったらアキラがかばったとかそんなんもあるのかもしれない。
Q.パトリシア・ウェルナーのページがない
A.わかんない
誰かが破いたんだろうけど、誰がなんのために破いたのか分からなすぎる。心臓移植の話だったからジゼルが感傷的になって持っていったとか? もしくは屋敷側の人間がアウロラと仲の良かったジゼルに心臓移植先の人間の情報を渡さないために破いたとか?
後者は、だったら屋敷側は犯人の目星がバチバチについちゃってることになるし、前者はちょっと荒唐無稽な感じがするよね。
演出の都合上、ここで素性をバラしたくなかったのかもしれない。といえばそこまでだけど…。
Q.記憶の再現の中のねね子から、本来聞けないはずの情報が聞けてる
A.過去に聞いていたとか?
記憶再現の中から池田が戻ってくる時、ねね子に仮想世界から目覚める方法を尋ね、確かそうな情報を手に入れてる。
聞いたということはおそらく池田の脳内には無かった情報のはずなので、本来答えが返ってこないはず。
でも現に返ってきたということは、過去に同じ情報をねね子から聞いていたか、実際は池田は仮想世界からの戻り方を知っていたか、記憶再現デバイスはある程度現実味を持たせるために情報の補完をすることができるか。
情報の保管ができるなら宙に浮いたペンギンへのリアクションをシミュレーションさせたりできそうだけど、重い処理をかけると処理落ちするって話が出てたし、ねね子をねね子っぽく喋らせることはできるけど、その他一般人をそれらしく振る舞わせることは出来なかったのかもしれない。
まあわかんないね。ぽいのは過去になんかしらで聞いていたとかなきがする。
Q.銃撃してきたやつ誰?
A.ジゼルと考えるのが自然
ジェイコブでないのは確か。ジェイコブが呼び出したのを察知した人間が、ジェイコブからなにか情報が行くことで不利になることを恐れて、池田を別の場所に呼び出し銃殺しようとした。と考えるのが筋。
動機目線で考えるとジゼルしか考えられないわな。
銃を持ってそうなリールがやる理由は一切ないし、屋敷側も犯人Xを見つけ出してくれたほうが解除コードが見つかって助かるので、招待客同士で情報交換するのはありがたいはず。
仮に屋敷側の人間が妨害したのだとしたら理由はなんだろう。池田が調査を続ける中で屋敷の秘密が暴かれるのを危惧したとか? う~ん、話の流れ的に無理があるし、やっぱりジゼルと考えるのが自然な気がする。
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考察楽しかった!終わります。